「大造じいさんとガン」3つの教材研究 〜でも、情景描写にこだわりすぎない〜

公開日: 2024年1月28日日曜日 「大造じいさんとガン」(光村図書/東京書籍5年) 教材研究

国語科溝上です。

研究発表会まで2週間。(詳細はこちらから。PR動画もあります!)

今週はいよいよ単元びらきです!
ここからは、単元構想から本時に至るまで、ブログでお伝えしていきます。
ご覧いただければ幸いです。

第1回は、単元構想①「3つの教材研究」です。
ここでいう「3つの教材研究」とは「素材研究・学習者研究・指導法研究」です。
<参考>「国語教育指導用語辞典 第五版」
https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/book/book/cate5/cate501/post-51.html

1 学習者研究

〜学びの履歴と本単元における教師の願い〜

本学級ではこれまで「読書と私」という大単元の中で、伝記や論説文など、多様な文種の作品に出合い、自分にとっての読書のたのしみ方や意味を広げ深めてきました。
 特に物語については、「たずねびと」を中心学習材として、作中の人・もの・ことが人物の変容にどんな役割を果たしているかに着目することで、「物語の全体像」を捉えられるという新たな文学のたのしみ方を見いだすことができています。
 一方で、情景描写等の表現の効果まで着目し、解釈を深めることができた子どもは、一部に限られていました。
そこで、本単元では次のような願いをもち、単元を構想しました。


物語の展開・構成に加えて、情景描写等の表現の工夫と結び付けながら、人物の変容を捉える力を身に付け、日常生活においても「何が書かれているか」だけでなく「どのように書かれているか」も視点にしながら、読書のたのしみ方を広げていってほしい。

2 素材研究

〜なぜ「大造じいさんとガン」を中心学取材とするのか〜

 上記のような子どもの学びの履歴と教師の願いから、本単元では「大造じいさんとガン」を中心学習材として取り上げようと考えました。
 この素材の特徴としては、情景描写が有名ですよね。

・秋の日が、美しくかがやいていました。(第1場面)

・あかつきの光が、小屋の中にすがすがしく流れこんできました。(第2場面)

・東の空が真っ赤に燃えて、朝が来ました。(第3場面)

・らんまんとさいたスモモの花が、その羽にふれて、雪のように清らかに、はたはらと散りました。(第4場面)


 特に、第1〜3場面に進むにつれ、大造じいさんの残雪を打ち取ることに対する思いの高まりが情景描写から感じられるのと、第4場面ではそこから対照的に「雪のよう」「清らか」などの表現によって大造じいさんの変容を印象付けています。


 ただ、助言者の先生に単元構想についてご相談した際、情景描写にこだわりすぎるのもあまり良くない、というアドバイスをいただきました。

「子どもたちはあくまでも「物語そのもの」をたのしむものだ」と。

「情景描写に目を向けさせなきゃと、思って授業すると、たぶん面白くなくなるんじゃないか」と。


この言葉は響きました。

これまで子ども主体とか、学びの文脈とか、散々大事だって言っていたのに、やっぱり「教えなきゃ」「学ばせなきゃ」という教師のが自分の中にに気付かされたのです。


教師の「教えたい」を子どもの「学びたい」に変えるには?

その手立てを考えるのが、教師の仕事だと思っていました。


しかし、子どもたちの「学びたい」の中のどこに「学びどころ」(=教科内容)が位置づくのか、それを見極められる教師でありたいと思いました!
ちょっとした言い回しの違いに映るかもしれませんが、私にとっては、自分の現在地を確認する大きな転換点になりました!


3 指導法研究

長文になってしまったので、続きは次回のブログでお伝えしていきたいと思います。
「1 学習者研究」「2 素材研究」を踏まえて、以下のラインナップで単元構想を紹介できればと思います。

①「大造じいさんとガン」はどのように教材化されてきたか

ア 教科書における取扱い
イ 先行実践

② 本実践の主張

・まずやってみるから、「問い」が生まれる ・つくる活動を通して学ぶ ・「選ぶ」ことでメタ認知を促す ・「語りの構造」を生かした言語活動 ・読書サークルにどう繋げるか などを提案予定です!


最後までお読みいただきありがとうございました。
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よろしければそちらもご覧ください!

国語科 溝上 剛道



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