〜モデルをもとに,問いと言語活動をつなぐ〜「単元 太一のモノローグ『海の命』(光村図書6年)」②

公開日: 2020年2月3日月曜日 「海の命」(光村図書6年)


前回までのブログでは,単元との出合わせ方(「海の命」①)と,一人一人がいかにして「わたしの問い」を立てていったか(海の命」②)についてご紹介しました。

今回は,第2時。
実際に問いの解決に取り組み始めたところをお話ししたいと思います。

<第2時の主な学習活動>
1 モデルのショートムービーを視聴し,「わたしの問い」と言語活動のつながりを確かめる。
2 ペアやグループで,「わたしの問い」の解決に取り組む。
3 本時で解決したことを振り返り,次時の見通しをもつ。

第2時は,前回立てた「わたしの問い」の一覧表を提示し,それらの問いが何のためのものかをもう一度確認しました。問いの解決の目的は,『太一のモノローグ』を創り上げることです。その見通しをより具体化するために,教師が作成したモデルのショートムービー(「プラタナスの木」(光村図書4年下)を活用した『マーチンのモノローグ』)とその構成メモを提示しました。


子どもたちが立てた問いは,「なぜ〜したのか(言ったのか)」という行動の理由についてのものが多かったので,そのような問いを解決していく場合は,次の2点を意識することをモデルとつなげて確認しました。

○  太一の行動の理由についての問いは,【太一の心情】につなげて解決し,モノローグでの「語り」に生かす。  周辺人物の行動の理由についての問いは,それぞれの【人物像】を表す言葉(テロップ)に生かす。

その上で,ペア・グループで問いの解決に入っていきます。以下,1班の話し合いの様子です。(※与吉じいさ担当,おとう担当に分かれて話しているため,始めは与吉じいさ担当であるゆみとななこの発話のみを掲載)

T        :今日の残り活動できる時間は,15分です。その中で何をするのか,何を書き残し
   ていくのか,見通しをペアで確認して活動していきましょう。
ななこ:今日は,問いの解決。
ゆ み:じいさについての問い。
ななこ:「村一番の漁師」…
ゆ み:「太一,ここはおまえの海だ。」…
さとし:現実的に考えたら所有権は… (おとう担当ペアで話し合っていたさとしが話し合いに入ってくる)
ななこ:いやいや,そういうことじゃなくって物語だよ。
さとし:普通に考えてそうじゃない?
ゆ み:え,おかしくない?それって。
さとし:だから逆の意味が入っているんでしょ。ここは君のものってこと。
ななこ:ここは君のものって,ここは…
ひさし:意味わかんない。
ななこ:日本の領土だからとかじゃなくて,このお話的には…
さとし:お話的にはそうだけど,現実的に考えたら…
ゆ み:いや,お話的に考えるんだって。
さとし:いや聞いて。所有権は別にあるとしたら,別の意味が隠されてるんじゃないのってこと。
ゆ み:いいこと言ってる。急に!
さとし:だから,「村一番」っていうのは,「おまえの海だ」ってのは,現実的なことじゃなくって,もっとなんか,おまえが自由にしろ,おまえのものになるぞって…
三 人:ああ!

ゆみさんとななこさんは,「太一とじいさの関係」を捉えるために,まずは「全てを悟った」「父がそうであったように,与吉じいさも海に帰っていったのだ。」「村一番の漁師」「太一,ここはおまえの海だ。」など,関連付けられる叙述を探していっていました。その中で,さとし君が「太一,ここはおまえの海だ」という言葉に立ち止まります。さとしは「普通に考えて」と言い,ゆみさんやななこさんは「いや,お話的に考えるんだ」と主張。こうしたやり取りの中で,1班では「海の命」を「物語」として読んでいくことに自覚的になっていっていきました。これは,「教科の眼鏡」として,とても重要なところだと思います。


ただ,子どもたちからはこんなつぶやきも多数出てきていました。



情報が少なくない?」
これだけじゃわかんないよ…。」

問いを解決しようと,これまでの物語の学びを生かして根拠となる叙述を探していった子どもたち。
しかし,登場人物一人一人についての描写は,それほど多くはありません。
むしろ,少なすぎるくらいです。

第3時では,その困り感を取り上げながら,この「海の命」を読む鍵となる言葉を一人一人が考えていく授業を目指していきます。

次回のブログで,その様子をご紹介したいと思います。
最後まで読んでくださり,ありがとうございました。

国語科 溝上 剛道













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