光村図書3年 単元「俳句を楽しもう」の言語活動に「俳句カードづくり」を!!

公開日: 2019年6月11日火曜日

本学級では、語彙を広げる帯単元として、「朝の五七五」という活動を進めています。

毎朝の朝の会で、その日の日直が「五七五」を考えて紹介し、その紹介された「五七五」を使って、言葉の勉強をするという活動です。



子どもたちは帰り道に気づいたことやその日に予定されている学校行事に向けての意気込み休日の予定で楽しみにしていること、ほかにも学級をよりよくするために必要なことなどについて、多種多様な五七五を作ってきてくれます。

毎日子どもたちから、どんな「五七五」が紹介されるのか楽しみにしています。

下に、5月13日に本学級の子どもが考えた「五七五」を紹介します。


この「朝の五七五」の取り組みについては、後日詳しくご紹介したいと考えております。とても語彙指導の広がる取り組みです。

今回はそのような俳句の学びについての素地のある学級で、俳句に慣れ親しむ言語活動として「俳句カードを作る」を考えました。

 本学級で「俳句」という言葉を使わず「朝の五七五」としているのは、季語を使ったり、自然に関する発見や気づきについて俳句にまとめるには、3年生という発達段階では、まだ難しいと考えるからです。

 それよりも五七五のリズムに慣れ親しみ、五七五のリズムに合う言葉を選ぶという経験をまず積み重ねさせようと考え、五七五のリズムになる作文のようなものを作る取り組みをしているのです。

また、この「五七五」は毎朝新しい五七五が紹介されるので、多様な「語彙指導」が帯単元として展開でき、その上、毎日言葉の力を付けることができるだろうと考え、実践を続けているところです。

教科書で紹介されている俳句には、次のようなものがありました。

〇古池や 蛙飛びこむ 水の音   松尾 芭蕉

〇菜の花や 月は東に 日は西に   与謝 蕪村

〇すずめのこ そこのけそこのけ お馬が通る   小林一茶


合計6首の俳句とその意味の説明が紹介されています。どれも子どもが俳句に慣れ親しむ上で、有効な俳句ばかりであると思います。

そのような魅力あふれる俳句に使われている「季語」に、子どもたちは触れていきます。

蛙の季語が春であることや、「雪解け」を冬の季語だと考えてしまう子どもたちと、いろいろ話していると、俳句に慣れ親しむことが「語彙」を広げる学習につながることが実感できます。

そんな言葉の世界をさらに広げていくために、本学級では下のような「俳句カード」を作るという言語活動を行いました。

色まで丁寧に塗っており、とてもよくできている俳句カードです。

このカードを作るのに、合計2時間使う活動です。教科書では1時間の授業ですので、1時間分超過しますが、このカードづくりを通して、子どもたちはたくさんの言葉と出合うことができます。下に、俳句カードを集めた掲示板の写真を紹介します。

 


先ほども述べた通り、3年生の子どもたちに俳句を作らせるのは難しいです。ただの「五七五」というリズムになる言葉遊びのような「俳句」であれば可能だと思うのですが、それでは慣れ親しむ幅が狭いなと考えました。

そこで、ICT機器や図書資料を使い、たくさんの俳句に触れ、その触れた俳句の中から自分のお気に入りの俳句を1首選び、上のような俳句カードを書くという活動を設定したのでした。

子どもたちが選んだ俳句は、次のようなものでした。

〇朝顔に つるべとられて もらい水   加賀千代女

〇船涼し 左右に迎ふる 対馬壱岐   高浜虚子

〇夏草や 兵どもが 夢の跡   松尾芭蕉

〇ちるさくら 海あおければ 海へちる   高屋窓秋

〇風の香も 南に近し 最上川   松尾芭蕉

〇一枚の 紅葉かつ散る 静かさよ   高浜虚子

〇さらさらと 竹に音あり 夜の雪   正岡子規

〇向日葵の ゆさりともせぬ 重たさよ   北原白秋

〇梅一輪 一羽ほどの あたたかさ   服部風雪

〇柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺   正岡子規

〇旅に病で 夢は枯野を かけめぐる   松尾芭蕉

〇行水の 捨てどころなし 虫の声   上島鬼貫

〇うかれける 人や初瀬の 山桜   松尾芭蕉
   などなど

インターネットを使って調べた子どもは、そのサイトの中で俳句の説明のあるものから選んでいるので、少し偏りもありますが、カードにして一覧にすると、とても見ごたえのある壁面ができあがります。

子どもたちの感覚で、面白いと思える俳句には、何かしらの言葉の魅力があるのでしょうね。

自分のお気に入りの俳句を選んだとしても、その俳句をカードに書くだけでは面白くありません。カードには次の4つの内容を書き加えさせていきました

〇 「自分」のお気に入りの俳句と題を書くこと。

〇 その俳句の説明を調べ、カードに添えること。

〇 なぜ、その俳句を気に入ったのか理由を書くこと。

〇 俳句からイメージできる絵を添えること。


とても手軽にできますので、朝自習の時間を使っても取り組める内容となっています。

また、友達のカードについての感想を、小さな感想カードにまとめさせます。


1枚の俳句カードに男の子から1枚、女の子から1枚感想が来るように、感想を書く相手は教師の方で指定します。

カードの内容もひと工夫します。

紹介された俳句はどんな俳句といえるか、その俳句にぴったりの言葉を選び、最初に書きます。

友達の俳句から感じた印象を、自分がもっている語彙の中からぴったりだと感じる言葉を選んで書かせます。

このような日々の授業をの中で生きていく語彙指導をしているのとしていないのでは、物語文や説明文の学びの中で生まれる姿に、大きな違いが生まれます。何もしないままでは、語彙を駆使して思考する姿に大きな差が出るのです。

このような活動を日々の言葉の学習の中に、ふんだんに入れ込んでいくことが必要であると考えます。

子どもたちに感想を書かせた翌日の朝、この掲示した俳句カードの前には、子どもたちがたくさん集まります。このように自然と「言葉」に意識が向けられる活動こそが、「言葉による見方・考え方」を働かせるためには必要ですね。


これからも、もっともっと言葉に触れられる学びの場を設定していきたいと考えています。
熊本大学教育学部附属小学校 国語科 中尾聡志
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