「お手紙」(光村図書2年)に入るその前に!言葉による見方・考え方を働かせる語彙指導“ジェスチャークイズ”その2

公開日: 2018年11月1日木曜日 「お手紙」(光村図書・東京書籍2年) オノマトペ 語彙力

多くの教科書で取り上げられている「お手紙」。
私も大好きな文学作品の一つです。

低学年の文学的文章における指導事項(精査・解釈)は,「場面の様子に着目して,登場人物の行動を具体的に想像する」とされています。指導要領解説では,「登場人物の行動を具体的に想像する」ことについて「登場人物について,何をしたのか,どのような表情・口調・様子だったのかなどを具体的にイメージしたり,行動の理由を想像したりすること」と述べられています。

今,本学級で取り組んでいる「お手紙」を学習材とした単元では,前者の「何をしたのか,どのような表情・口調・様子だったのかなどを具体的にイメージ」することを中心的な指導事項とした言語活動に取り組んでいます。その力をつけるために必要な知識・技能は何でしょうか。それは「表情・口調・様子」についてのイメージを具体化するための「語彙」です。そのような語彙を駆使しながら思考する姿こそ,言葉による見方・考え方を働かせている学びの姿だと考えます。

そこで,今回はその単元に入る前に行った語彙指導「ジェスチャークイズ②ようすをあらわすことば編」を紹介します。(前回のジェスチャークイズ①「はんたいのいみのことば にたいみのことば」はこちらからご覧になれます。)

ジェスチャークイズは次のようにして行います。

①出題者は何の動きをするか(うごきのことば)を先に言った上で,ジェスチャーをしてみせる。
「ぼくは,『ひらく』をします。」

「それでは,かずやくんの『ひらく』ジェスチャークイズ,
 3,2,1,ジェスチャー!」





②回答者はその動きを見て,どんなようすだったかを言葉で表す。
「はい!さっとひらくですか?」
「違います。」
「パラパラじゃない?」
「正解!」
「あ~!」

このクイズだけで,授業は大盛り上がり!ただし,この活動をただ繰り返していくだけでは,単なる“クイズ”に終始してしまいます。それら一つ一つの言葉に「語彙」としてのつながりをもたせるために,全体に次のように投げかけました。
「かずやくんのように,『ひらく』でジェスチャークイズができる人?」
すると,さまざまな「ひらく」シリーズが登場します。

ある子どもは「ていねいに」,またある子どもは「やぶれるくらいざつに」。

そんな中で,あゆみさんが,はじめに挙げたかずやくんと似たジェスチャーをしました。

「ん?パラパラ?」

「ちょっと違う。」

「う~ん,ペラペラ?」

「正解!」

ここで,「ちょっと違う」というあゆみさんの発言を取り上げ,全体に対して次のように問い返しました。
「パラパラとペラペラってどう違うの?お隣さんとやってみて。」
「パラパラパラ…」「ペラペラ…」「え~何が違うんだろう?!」

その後,全体で話し合うと,次のような気づきが出てきました。

「パラパラは速くする感じで,ペラペラはゆっくりとペラ,ペラ,ペラって感じ。」

「ちょっと似てるんだけどさ,
 みんなパラパラ漫画って知ってる?」

「知ってる知ってる!」

「絵が動いているように見えるやつ!」

「あ~パラパラって速いから
 動いて見えるんだ!」


このように,「ペラペラ」と比較したり既有の知識と結び付けたりしながら,「パラパラ」という言葉の意味や働きを捉え直す姿が見られました。

この学びを基に,子どもたちは改めてクイズ作りに取り組みました。その中で,新しい表現の仕方をしている子どもを「○○名人」として取り上げ,次の4つを板書しながら全体で共有していきました。
「○○みたいに」名人
 オノマトペ名人
③「○○なくらい」名人
④「○○しながら」名人


授業の最後は,一人一人がノートの中から自分の最高傑作を選んでプリントに書きます。
授業後は,教室壁面に掲示しておきました。


すると,なんと次の日の「お手紙」の導入で,この掲示をもとに自分の考えを発表する子が!その授業については,また機会を改めてご紹介させていただきたいと思います。

長文に渡ってお読みいただきありがとうございました。

(※本文中の子どもの名前は,すべて仮名です。)

国語科 溝上 剛道











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