11月2日(土)の第10回 明後日の会『「ごんぎつね」の教材研究』

公開日: 2019年11月19日火曜日


今年の1月から始めた「熊大附属小国語授業研究会『明後日の会』」も、今回でとうとう10回を迎えることができました。

国語の授業について、理論に縛られたり、指導の方法論が先行してしまうことなく、教材とじっくりと向き合い、自分たちが教材から感じたことを自由に表現し合う中で、教材の理解を深めていけるような会にしたいと考え発足した会でした。

参加される先生方は、初任の先生から10年目以上のベテランの先生、また教職を今から目指そうとする大学生まで、幅広い先生方と勉強したいと考え、この会を発足しました。

研究会の持ち方も、9月から少しずつバージョンアップして参りました。授業の導入や朝の会などで気軽にできる国語クイズ語彙力を高める短い言語活動などを紹介する時間を設けたり、作者研究の時間をつくり、大人として作家論的に教材を読むことができるような時間を設けたりして参りました。少しでも「この会に来てよかった。」「勉強になった。」と思ってもらえるように進めてきたつもりです。

そのような思いの中での、今回の第10回目の明後日の会でした。

今回は今年度1番の目玉企画「ごんぎつねの教材研究を、熊本県だけでなく、他県の小学校の先生や中学校の先生と討論形式で進めていく」という主旨のものにしました。

佐賀市教育委員会の西原宏一指導主事
佐賀市立城西中学校教諭・佐賀指月の会事務局の田崎信子先生
熊本県上益城郡益城中央小学校の坂崎慎太郎先生
ご登壇いただき、誠にありがとうございました。
先生方からご提示いただいた「⑴なぜ,私たちは「ごんぎつね」に惹かれるのか。」と「⑵私の考える『ごんぎつねの謎のおかげで、「ごんぎつね」を読み深めることができました。本当にありがとうございました。

西原先生には、「ごんぎつねの世界を包み込む情景の美しさ」にこだわったご意見をいただきました。西原先生が子どもの頃、「ひがん花がふみ折られていました。」という描写と目の前にある彼岸花のある風景によって、初めて物語の世界と現実の世界が重なったという経験をされたそうです。そのような経験をされたのは、この「ごんぎつね」しかない、だからこそ、そのような美しい情景がこの「ごんぎつね」の魅力なのだとお話しされました。強く納得させられるご意見でした。そして、特に会場から感嘆の声が生まれたのは、この「ごんぎつね」の世界をジオラマにし、それぞれの場所に案内板を立てるという言語活動を紹介された時のことでした。百円均一のお店などから集めた材料を使って、「ごんぎつね」の世界をジオラマにされました。その完成度の高さには驚かされました。そのようなジオラマを使った言語活動に取り組む子どもの姿を想像すると、間違いなく「主体的・対話的で深い学び」なのだろうなと感じました。

田崎先生には、中学校の国語教師の視点からご意見をいただきました。「最初にしたつぐないが『いわし』だったことの意味や『いわし』の役割は何なのか」という謎をいただきました。最初、私もどういうことなのかその真意を読みかねておりましたが、改めて「いわし」を最初のつぐないに選んだ理由とは何なのだろうと考えると、とても面白くなりました。会に参加してくださっていた県小国研の先生も「あの『いわしの役割』って何ですかね?もっと話したかったです!」とおっしゃってくださいました。私も話しながら、本校田邉と溝上と議論しましたが、とても面白かったです。なかなか小学校の先生方と教材研究をしていても、『いわしの役割』を話す機会は少ないかなと思いました。話をしながら、「そう言えば、中学校では走れメロス』のセリヌンティウスの弟子のフィロストラトスの役割」などを話し合うなあと思っていました。中学校の先生方と教材研究の仕方を交流することは、とても価値ある行為だなと実感しました。

坂崎先生には、突然ご登壇いただき、誠にすみませんでした。あのような場に突然お呼びし、その上で「この物語は、本当に悲劇の話なのか?」「なぜ、『わたし』という人は、あれだけひどいことをする「ごんぎつね」を「ごん」と優しく読んでいるのか?」というような謎をご提示くださる先生はいらっしゃいません。この物語の中の「わたし」という存在に目を向けることのできる、貴重なご意見でした。常にごんの側にいる「わたし」は、最後の結末をどのように見たのでしょうか。そんなことも、最後の場面の地の文に描かれた言葉から読み取ろうとすることができます。きっと子どもたちの脳を活性化できる学習活動になると思います。

そして、一緒に登壇してくれた本校の溝上先生と田邉先生。溝上先生の「再読するからこその面白さ」が「ごんぎつね」にはあることを話してくれました。よくよく考えてみると、この物語は何度も読み込んでいます。読めば読むほど、ごんに寄り添ってしまい、さらには兵十に寄り添ってしまう、そんな魅力がこの物語にはありますね。

田邉先生「ごんの人間くささ」は、この物語の大きな魅力です。読者はごんの一挙手一投足に立ち止まり、心を寄せ、共感したり、そわそわしたりしてしまいます。それは、きっと「ごんの人間くささ」のせいなのでしょう。田邉先生にごんの人間くささを指摘してくれたので、私もこの「ごんぎつね」の魅力を考えることができました。

私の考える「ごんぎつねの魅力」とは、「ごんの姿に自分自身を重ねてしまうことができること」にあると思います。相手のことを考えずいたずらをしてしまうごん、自分のしたいたずらにひどく後悔してしまうごん、償いをし続けていくうちに相手のことを自分に重ね合わせてしまい、恋慕の状のようなものをいただいてしまうごん、例えつりあわないと思っても、いつかつながることができたらいいなとつぐないをし続けるごん、そして最終的には相手への気持ちが近づきすぎてしまい、自分の思う相手に撃たれてしまうごん。どのごんも、どこか自分の中にいると思われませんか?そんなごんの言動に見る自分が想像できてしまうところに、この「ごんぎつね」の魅力があると私は考えます。

ご登壇いただいた5人の先生方と私で行った「⑴なぜ,私たちは「ごんぎつね」に惹かれるのか。」と「⑵私の考える『ごんぎつねの謎」の議論は、あっという間に過ぎてしまいました。途中、平成音楽大学の椙山範夫先生から「兵十はどこまでわかったのか?」について議論している中で「くりをくれていたことはわかったが、それ以外はつながったのか。つながったのなら、なぜつなげたのか。また、ごんがわかってほしかったことの全てとは何だったのか?」という謎をいただきました。前半静かにされていた椙山先生だったので、私の本校に異動してきて2年目の研究発表会の授業を基にしながら話したことの続きになって、ご意見をいただきました。このお話もとても盛り上がることとなりました。

パネルディスカッション後には、佐賀大学教授の達富洋二先生から、ご講演いただきました。60分という短い時間だったのですが、私たちの議論の骨子をまとめていただきながら、教材研究とはどうすべきなのかをお話しいただきました。
教師はややもすると、教材研究を通して得たものを全て子どもに気づかせようとする。だから、子どもの文脈とは違うことを一生懸命話し合わせようとするから、子どもが物語から離れていく。そうではなく、言語活動の中で子どもたちにどのような力をつけていくのかこそが大事なのだというお話をいただきました。

前半が教材の解釈に力を入れたものだったので、ややもすると、その中で出てきたことを全て子どもに示さねばならないと思われた方がいらっしゃったかもしれまなかったです。その点を達富先生のまとめていただけたことはありがたかったです。

また、達富先生はこの「ごんぎつね」の指導案を100回以上書かれているそうです。ただただ仰天です。けれども、そのような指導案を支える力として、愛知県の半田に出向かれ、フィールドワークする中でこの「ごんぎつね」の世界の中にある謎を紐解かれていったそうです。詳細は省略致しますが、達富先生の1つ1つのお話をノートにメモ取りながら、何度も「なるほど!そうなのか!!」という思いが生まれました。会終了後の懇親会の中でも、たくさんお話しさせていただきました。熊本までお越しいただき、ありがとうございました。


今回の企画も思い先行で進めていきましたので、当日どのような会になるのか心配しましたが、参加の先生から「もっと話し合いたかった」や「とても勉強になりました」というご意見をいただくことができました。

そんな先生方のお言葉から、今回の「明後日の会」に満足いただけたことを感じることができました。そのような会を開くことができたことが嬉しかったです。

今後も「言葉の力」をつけることのできる会にしていきますので、ぜひご参加ください。

次回は12月の会となります。学期末となり、学級事務作業が増えてまいりますが、以下の日程で開催しています。

12月13日(金)18:30~本校会議室
※たびたびの変更、大変申し訳ございません。この期日が最終的な期日となります。年末のお忙しい時ですが、ご参加お待ちしております。

12月・1月・2月は、本校の研究発表会月間となります。2月7日8日の研究発表会で授業する物語の教材研究を行います。どれも私たちの思いのこもった作品となっていますので、自然と教材研究の質も高まっていきます。

12月(12月13日(金))は、私が「モチモチの木」の教材研究を行います。

1月は、本校溝上が「海の命」の教材研究を行います。

2月は、本校田邉が「たぬきの糸車」の教材研究を行います。

本会は誰でも気軽に参加できる会となっております。
初任の先生からベテランの先生、教職を目指す大学生まで、どなたでも参加できます。
「ちょっと気分転換に物語を読んで来ようかな??」というような気持ちでご参加いただいて構いません。会が終了する頃には、最初とはちょっと違った自分になることができているはずです。
「大造じいさんとがん」の教材研究した時には、初任の先生から「教材研究ってこうやってするんですね。とっても楽しかったです!」とお伝え願えました。
重々しい雰囲気はありませんし、会を運営するためのお仕事なども一切なく、手ぶらで参加することができます。
いつも笑いあふれる会となっておりますので、たくさんの先生方のお越しをお待ちしております。

国語科 中尾聡志

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