第3回熊大附属小授業研究会(仮)を開きました!!

公開日: 2019年3月25日月曜日

ブログへの掲載が遅れてしまいましたが,3月7日(金)熊大附属小授業研究会第3回目を開きました。



今回は小学校の不朽の名作「ごんぎつね」の教材研究を、本校藏田教諭の進行の下、進めていきました。

「ごんぎつね」は親子の世代を超えて語り合える物語であり、どの教科書会社にも掲載されている物語です。

だからこそ、参加の先生方も「ごんぎつね」に書かれた叙述に対するこだわりをもっていらっしゃいました。

会では,中心人物ごんの心情や心情の変化したところがわかる叙述を探していきました。

・うなぎのつぐないに、まず1つ、いいことをしたの「まず1つ」
・「おれと同じひとりぼっち」とはどういう意味なのか?
・くりをどっさり
・次の日も、その次の日も
・こいつはつまらないと言ったごん
・めをつぶったままうなずいたごん

など、物語全体からたくさんの叙述を挙げていただきました。
ここでは全て書くことはできませんが、
叙述を基に、ごんはきっとこんな心情なのではないかといったことを、
子どもの読みや大人の読みを入り混じらせて、発言をつなげていきました。
たくさんの大人が集まり、教材についての見解を述べ合うという、とても知的興奮にあふれた時間を過ごすことができました。

中でも、特に話題にあがったのが、次の2点でした。
 
 ① ごんがした「つぐない」は、ごんがしたということ自体は、ごんの最期の時にしか伝わらなかったけど、くりやまつたけなどの「つぐない」の目的は、兵十のことをあわれに思って、恵んでくれていたのだという「行為の意味」は、加助を通して兵十に伝わっていた。
 
 ② 「ごんが待っていたお念仏がすむまでの時間」とは、3時間半以上かかっていた。

①の内容については、ご参加の元附属小副校長先生からご指摘いただきました。
とても納得させていただいたご意見でした。
なぜだか送られてくるくりや松たけは、誰が届けてくれているのかはわからず、神様の仕業となってはいるが、たった1人になったの兵十を哀れに思って、恵んでくれているのだということを、加助の言葉を通して、兵十は理解したのです。
贈っている人のことはわからないけれど、贈っている人の思いや意図は、兵十にしっかりと伝わっていたのですね。

②のお経の時間については佐賀大学の達富洋二先生が、実際に愛知県の半田地方に行かれて現地の方にお尋ねされたそうです。
半田地方では、浄土真宗の法事が行われており
・仏節無量寿経
・仏説観無量寿経
・仏説阿弥陀経
・正信
の全部をあげると3時間半以上かかるらしいです。
つまり、ごんもそれぐらいの時間、兵十が出てくるのを待っていたのでしょうね。
これは大人の知識ですので、子どもに教える必要はないのですが、
こんなことを知って、この物語を読むと、さらにごんのけなげな姿が浮かび上がってきますね。
(もちろん、これら全てをあげずに、省略していくつかのお経だけをあげることもあるそうです。その
場合には、40分から1時間以上かかるそうです。)

②は会の中ではしなかったのですが、①のような教材の解釈について、2時間近く検討し続けていきました。
参加の先生からの指摘を受けて、物語に立ち戻り、もう一度読み直して、再度話す
そんな行為を何度も何度も繰り返していきました。
とても知的興奮にあふれた会となりました。


さて、本会もようやく3回目を迎えることができました。
参加の先生方も着実に増えていっております。
来年度も、小学校の物語文の教材研究を深めていくことのできる本会を、継続して開催していきます。

つきましては、第4回目の授業研究会の期日をお知らせいたします。

次回は3年生の物語教材「きつつきの商売」(光村図書)「すいせんのラッパ」(東京書籍)の2つの教材文を比較しながら、教材研究をしようと考えています。
どちらも教科書の単元のリード文では「場面の様子を思いうかべて音読する」とあります。

「場面の様子を思いうかべて音読する力」という言葉の力をつけるために、
それぞれの教材文ではどのような授業を仕組んでいくとよいのでしょうか?
 
「場面の様子を思いうかべて音読する力」は「きつつきの商売」では育てられるけど、「すいせんのラッパ」では育てられないでは、いけないのです。

どちらの教材を使っても、学習指導要領に示された「場面の様子を思いうかべて音読する力」は育てなければなりません。

2つの教材を比較しながら、いかに「場面の様子を思いうかべて音読する力」という力を付けていくとよいのかについて、私も、ご参加いただいた先生方も、学んでいくことのできる会にします。

たくさんのご参加をお待ちしております。



<第4回熊大附属小授業研究会(仮)の開催期日>

日時   4月12日(金) 18:30~20:00
場所   熊本大学教育学部附属小学校会議室


熊本大学教育学部附属小学校 国語科 中尾聡志 溝上剛道 藏田和明
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