【スイミー④】なぜ書き換えは起こらなかった?〜活動デザイン?発達段階?それとも…〜

公開日: 2024年6月17日月曜日


第4時の目標

第1幕をスイミーになりきって演じたり感じたことを『あのね』に書いたりする活動を通して、まぐろがつっこんできた前後のスイミーの様子を具体的に想像することができる。

主な学習活動

①「ひとくちでいっぴきのこらずのみこんだ」を演じたり話し合ったりする。
② 各グループで第1幕を演じながらスイミーの行動を想像する。
 本時の学習を振り返り、『スイミーあのね』を書く。

学びの実際

<学習活動①>「ひとくちでいっぴきのこらずのみこんだ」を演じたり話し合ったりする。

では、以下のように述べていました。
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「さいしょはガブガブしてたけど、『一口』ってかいてるから『ガブ』ってしりました」

かなとくん(仮名)は、文章自体は短いですが、叙述に立ち返った記述です。

しかし、この子のように、自分が立ち止まった叙述を記述できている子どもは限られていました。
そこで、次時ではこの『スイミーあのね』を取り上げ、身体表現と叙述とを結び付けることを共有していきたいと思います。

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そこで第4時では、前回の即興劇の様子を動画をで提示しながら気付いたことを出し合わせ、その発言を基にもう一度即興劇をしてみました。

さらに、先ほどのかなとくんの「あのねシート」を提示して価値づけた上で、自分の「あのねシート」に立ち返らせました。



T:かなとくんみたいに、自分が考えたことの手がかりを書き加えられそうなところ、あるかな?
C:うーん、、、
C:えー、ないかなあ。

私の意図としては、個々の身体表現の根拠になった叙述に自覚的になってほしいと思っていたのですが、書き換えや書き加えをしよとした子どもはほとんどいませんでした。

いくつか原因を考えてみると、
ア そもそも、「あのね」の特性として、必ずしも根拠をあげる必要はない。
イ 発達段階的に、一度書いたものを書き直したり練り直したりすることに向かいづらい。
ウ 全体で代表児童の演じる姿を見たり、<かなとくんの考え方>を聞いたりするだけでは、「自分」を見つめ直すことにはつながりにくい。
などが挙げられます。

どれか一つということではなく、おそらく複数の要因が絡み合っているかと思います。
ただ、この時間に解決しうるのは「ウ」だと考えました。
どう解決するかといえば、「やってみる」「なってみる」です。
そこで、この後は各グループ(生活班の4人)で即興劇をする時間をとりました。

<学習活動②各グループで第1幕を演じながらスイミーの行動を想像する。


さっきまで、「うーん」と唸っていた子どもたちが、とても生き生きと身体で表現していっていました。
それは、活動③の「スイミーあのね」の記述にも表れていました。

「まず、やってみる」
子どもたちの姿から、改めてその大切さを感じ取ることができました。

ただ、私からの指示で「全員が交代しながらスイミーの役をやりましょう」と言っていたため、子どもたちからの発話は、「次は誰がスイミー役か」「だったら誰がまぐろをやるか」など、配役についてがほとんどになってしまいました。

ここは、次時に何らかの手立てが必要なところです。

<学習活動③本時の学習を振り返り、『スイミーあのね』を書く。

この日は、スイミーに<なる>活動を全員が経験したので、
「スイミーの役をやって、気持ちがわかったよ」
「げきをしたら、ぼくもこわかったよ」
など、スイミーの気もちに共感した記述はかなり増えました。

また、少しずつ叙述に立ち止まっている子どもも増えてきました。




次時では、活動②で述べた配役等の話に終始しないグループ即興劇のあり方と、少しずつ増えてきている言葉への立ち止まりをより促していくことが課題です。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

熊本大学教育学部附属小学校
溝上 剛道





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