「考えの形成」の授業の改善点は「単元における本時の位置づけを明確にもつこと」「子どもの身近な資料を用意しておくこと」にありました!

公開日: 2018年8月27日月曜日

8月23日の実践研修会にはたくさんの先生方にご参観いただき、ありがとうございました。授業研究会を通して、今回提案した授業の改善点に気づくことができました。その振り返りをしたいと思います。

授業の意図としては、1つの話題に対して「成功していると言える」「成功しているとは言えない」という自分の立場を明らかにして、その立場を説明するための情報を5つの意見文から読み取り、自分の考えの形成に役立てていくというものでした。

授業研究会の中の質問でも出たのですが、「成功しているとは言えない」の方が説明しやすくなるだろうと考え、意見文の準備をしました。研究会の中でも、司会者から大人の先生方に聞いてみると、私が感じていた通り「成功しているとは言えない」が多くありました。でも、面白いのが子どもたちの反応は「成功している」と考える子どもの方が多かったのです。子どもたちの既有の知識や経験から、「成功している」という感覚をもつ子どもの方が多くなったのだと思います。大人と子どもで資料に対する感じ方は違うことも念頭に置きながら、5つの意見文を支える資料選定をすることが授業の成否を分けると感じました。

もう1点、研究会の中で話題に挙がったのが「二者択一」の課題の是非についてでした。とても難しいところです。私の意図としては、教師から提示された5つの意見文と図表という「限られた中」で、ペアでああだこうだと話しながら考えの形成の仕方を体験的に理解していくことが本時の位置づけだと考えておりました。この単元の導入の時間から、子どもたちの考えを自由に広げてしまうと、対話が起こらず、ただただ子どもたちが多様な意見を言って終わってしまうのではないかと考えました。そのため、限られた資料の中で自分の考えを形成する方法を学び、残りに2時間で自分の考えを形成していく学びを起こそうと考えておりました。その点について授業研究会できちんと述べられなかったことが、参加された先生方に申し訳なかったです。授業の意図を明確にもち、その上で授業の是非について追究していくようにしなければ、授業研究会における深い学びは生まれません。この点は私の大きな反省点です。

また、こちらも授業研究会で出された意見ですが、「この面からは成功としていると言えるが、この面からは成功しているとは言えない。ここにこそ『自分の考えの形成の元』がある」というご意見には、大きく納得させられました。授業最後に行った「成功していると言える」「成功しているとは言えない」の両方の立場からの発表の中にもあった通り、子どもたちは『自分の考えの形成の元』に到ることができていました。それは「意見文③」の検討があったからこそだと、私は考えております。このような姿が生まれていたからこそ、次時以降の実際に自分の考えの形成をしていく際には、今回の『自分の考えの形成の元』を子どもたちに意識させようと考えております。

資料選定については、集める中で苦労したことや困ったことを述べさせていただきましたので、その思いを共有していただけたと感じております。ご意見の中にあった「熊本城の来訪者数などの子どもたちの身近な資料を入れておくとよかったのではないか」というご意見は、とても参考になりました。限られた資料の中に、そのような資料が1つ入っていると、子どもたちがもつ既有知識や経験はさらに引き出されていくと思います。今後の他クラスで授業する際の授業づくりの視点に生かしていきたいと感じました。

もう1つ、大きな改善点として「最後のA・B両側の発表の際、私が「どちらの意見の方が『説得させられる』か」や「どちらの方が『納得できる』か」といった「揺れた表現」を使ってしまったこと」がありました。私の思いとしては、納得させられた意見はどちらなのだろうという思いで話したのですが、確かに「説得させられるのはどちらか」と最初に言っておりました。子どもたちからすると「説得するために考えていないんだけと・・・」という思いになったと思います。教師の言葉1つ1つにさらに重い自覚をもたなければならないと痛感しました。子どもたちを混乱させてしまったことに反省です。

授業研究会の中で、助言の榅山範夫先生に授業の分析をしていただきました。榅山先生のお話からは、いつも「そもそも」を考えるきっかけをいただけます。「考えるとは何なのか」「どのような子どもの姿を見ると、私達教師はよく考えていると見なすのか」など、たくさん考えさせられました。また、今回のような自作教材を作る際には、資料収集には細心の注意が必要であることも教えていただきました。この点についても、今後の自分の授業づくりに生かしていかなければならないと思いました。

今回、夏の実践研修会での公開授業のテーマは「『考えの形成』の授業を追究すること」でした。「考えの形成」は新学習指導要領の移行期間に求められる、とても求められる実践です。今回ご提案させていただいたことを基に、参観いただいた先生方のご自身の教室で、担任されている子どもたちの実態に合わせて、「考えの形成」の授業づくりをしていただけると幸いです。資料の数なども減らしたり、増やしたりしていただけるといいなと考えております。


最後に、本校の研究のご紹介となりますが、本年度も2月8日(金)に研究発表会を行います。今回ご提案した内容は説明的文章における「考えの形成」でしたが、これまで本校国語科では文学的文章の研究を進めてまいりました。「主体的・対話的で深い学び」を生み出すためには「言語活動を中核に据えた授業」が重要であると考え、研究を進めてております。2学期には宮沢賢治さんの「やまなし」の授業を、そして、2月の研究発表会では立松和平さんの「海の命」の授業を行います。

昨年度の研究発表会では、「わらぐつの中の神様」を「金婚式の孫スピーチををしよう」という言語活動で授業公開をいたしました。1学期の「カレーライス」では「もしも、ひろしとお父さんの交換ノートがあったなら・・・『お父さん、あのね・・・』『ひろし、あのね・・・』」という言語活動で深い学びを生み出す国語科学習を行いました。「やまなし」や「海の命」では、どのような言語活動で授業を構想しようか、今からワクワクしながら構想し始めております。

年度末のお忙しい中だと思いますが、ぜひ研究発表会の研究授業もご参観いただき、新しい学習指導要領が求める「国語科学習」について、たくさんの先生方と議論していけると素晴らしいなと考えております。申し込みは、本年度より本校HPからネット申し込みできるようにいたしました。たくさんの先生方のお申し込みをお待ちしております。子どもたちだけでなく、私たち教師も授業研究会において「深い学び」を生み出していきましょ!!たくさんの先生方のお申し込みをお待ちしております。


<2019年2月8日(金)熊本大学教育学部附属小学校研究発表会>

6年1組公開授業「海の命」(作:立松和平)


熊本大学教育学部附属小学校 国語科 中尾 聡志
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