「まいごのかぎ」第四時
公開日: 2023年6月14日水曜日
第四時です。
この時間は,子どもたちの振り返りから,四の場面と五の場面を中心にインタビューをする
ことにしました。
導入では,四の場面・五の場面のどちらでインタビューを行いたいのか。また,その場面の
どの叙述についてインタビューしようと考えているのかを全体の場で共有し,インタビュー
する相手を選択することができるようにしました。
【五の場面】(バス停にかぎをさしたところ)
C:バス停の数字が動き出した後,「すごい」と目を輝かせましたよね?でも,その後に,
わくわくした自分がいやになりましたってあって,最後に見とれていましたってある
けど,どうしてそんなにすぐに気持ちが変わったんですか?
C:…分からない。
このグループでは,さした後に大変なことが起き,「自分がいやになって」「こわくなって」
などのりいこの気持ちを表す叙述に立ち止まり,なぜバスに見とれていたのかをおたずね
していました。しかし,その場面だけでは応えることができなかったため,最後の場面を
確かめてみるように促し,二つの場面をつなげて考えることができるようにしました。
【戻ってきて】
C:自分がいやになったのに,バスの踊りに見とれていたのはどうしてですか?
C:バスが自分の前に来て,クラクションを鳴らしたり,くるくる回ったりしていたのを
見て,なんだかたのしそうだと思ったからです。でも,見とれていた時の気持ちはこれ
以上はない気がするな。
C:その前のところで,こわくなったって気持ちがあったけど,その時に他の気持ちは
あったんですか?
C:お巡りさんに叱られるから,こわくなっていたし,もう余計なことをするのはやめよう
って思っていたけど,やっぱりかぎをさしてみたかったんです。
このグループでは,バス停の出来事に対するりいこの気持ちの変化を,一つ一つの叙述から
想像していました。初めにわからないと答えていた子も,インタビューをして友だちの答え
を聞くことで,りいこの気持ちを考えることができていました。
【五の場面】(手を振り続けていたところ)
C:りいこさん,最後の気持ちはどうでしたか?
C:描いたうさぎがバスの中にいて,嬉しかったなあって。
T:ここのグループではどうですか?
C:うさぎに会えて嬉しいって答えが出ました。
T:うさぎに会えて嬉しかったから,手を振り続けていたってこと?
C:そうかなって,思うんだけど。なんかまだ,うーんって感じがします。
T:何か他にもありそうってこと?
C:はい。
C:ぼくは会えて嬉しいでいいと思うんだけど。ここで,会えたんだから。
最後の場面を考えているグループには,うさぎとの関係を考えながら気持ちを想像して
いる子どもたちがいました。しかし,まだうさぎに会えて嬉しいという程度の捉えしか
できていないようです。
この後,全体の場でインタビューしたことを共有しました。
T:振り返りでは,バス停の場面を考えたい人が多かったけど,インタビューできましたか?
C:なんで最初悲しかったのに,バスがきたら踊って元気なったのかを聞いたら,踊っている
バスを見ていて楽しくなった。
T:少し変わったところが見えてきたんだね。
C:最初,バスの時やめようと言ったのになんで「これでさいごだからね」って言ったのか
分からなかったけど,いつしか吸い込まれるようにあったので,見れば見るほど不思議だ
ったから,さしたってことが分かった。
T:さしたのがなぜかが,インタビューして見えてきたんだね。
ここお尋ねしたよってところありますか。
C:なんでそんなにころころ気持ちが変わるのって聞いたら,バスたちの様子を見ていたら
自分もなんだか楽しくなったって答えてくれた。
T:どうしてそう答えたの?
C:前もどんぐりの時もただのかぎあなではなそうですって書いてあって,ここでも目を
ぱちぱちさせながらってあったから,何回見ても本当に起きてるのかなって確かめるよ
うに見てたから。
子どもたちの中で,四の場面を十分にインタビューしたことでりいこの気持ちの変化を
詳しく捉えることができていました。気持ちの変化が激しいことで,りいこの葛藤して
いる様子と不思議な出来事が気になって負けてしまう気持ちがインタビューの中に表れ
ていました。
一方で,最後の場面を考えていた子どもたちは,インタビューをして少し見えてきたところ
もあったようですが,まだ納得のいく答えやりいこの気持ちが見つけられずにいました。
そこで,次時ではもっと最後の場面について考えていきたいという思いが高まっていました
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