【実践紹介⑤ー2】「一つの花」~グループでの学びはどのような姿だったか。~

公開日: 2024年10月6日日曜日

 前回に引き続き「一つの花」五時間目の様子です。

子どもたちは「台詞」「行動」「表情」などに着目することで、気持ちを読み取ることができるのではないかという見通しをもっています。今回はグループの中で子どもたちの学びがどのように進んでいったのかを紹介します。

【実際の授業の様子】

①劇化をもとに話し合いをしているグループ

このグループは実際に高い高いの様子を劇化しながら、気持ちについて考えていました。
まどか:この高い高いってなんで高い高いしてるんだろうね。
だいち:そもそもね。
まどか:何かわざわざしているよね。心配している感じもあるし、はー嫌だみたいな感じもあるし。
T:実際に動いてみると何かわかるかもよ。
(実際にやってみる)
しんじ:「めちゃくちゃに」って書いてあるから、もっと高いんじゃない。
だいち:めちゃくちゃってどういうときにするのかな?大げさにするのかな?
まどか:めちゃくちゃって最大限(また、実際にやってみる)
T:どんな気持ちがこもってる?普通のこれぐらいの高い高いとはどう違う?
まどか:お父さんの思いがこもっているかも。
だいち:辞書で調べてみようか。
実際に劇化して考えるなかで、「めちゃくちゃに」という言葉への立ち止まりが見られました。しかし、その後辞書で意味を調べてみると、自分たちが思っていた意味とは違ったようで、お父さんの気持ちに対するさらなる疑問が生まれたようでした。

②人物それぞれの気持ちから考えるグループ
このグループは人物それぞれの立場から気持ちを考えていきました。
ひかり:お父さんがゆみ子をどうみてるかだけじゃなくて、お母さんがゆみ子をどう見ているかも考えよう。
ななみ:前の授業では、お父さんがお母さんに対してどう思っているかとか、お母さんがお父さんにどう思っているかの矢印が考えられなかったから、そこも大事じゃない?
ななみ:ゆみ子への気持ちは分かりやすいんだけど、お父さんからお母さんへの気持ちは分かりにくいよね。
ひかり:たしかに。
T:お父さんからお母さんへの気持ちがわかると何がいいの?
ななみ:お父さんがお花を渡したときに、お母さんにも何か思っている気がするから、そこが・・・書けるかもしれない。
T:なるほど。じゃあ、そこを考えて変身作文にいかせるといいね。どの文章に注目すると気持ちが考えられそう?
複数の登場人物の視点から場面を見ることでより詳しく気持ちを語れるのではないかと考えている子どもたちです。しかし、まだまだ叙述への立ち止まりは見られていなかったため、叙述への注目を促す声掛けをしました。

③話し合いをもとに書きかえ始めているグループ

このグループは、話し合いをしながらその場で変身作文を書きかえ始めていました。自分たちで気になったことを出し合い、話し合った結果を変身作文に生かしていました。
せいら:やっぱり、この一つだけが最後の場面とつながっている気がする。
みゆき:確かに。そんな感じするよね。
T:どんな風につながっているの?
せいら:お父さんは「一つだけの幸せ」っていっているから最後は一つだけの幸せをあげたかったんじゃないかと思います。
きょう:そうそう。この一つだけを大事にしてほしい感じ。
T:なるほどね。だったら、変身作文も書きかわる?
みゆき:もっと詳しく書けるかも。
きょう:でも、最後にもっとたくさんあげてもよかったよね。
せいら:あ~、確かに。
話し合ったことを基に変身作文を書きかえ、その中でさらに出てきた疑問を話し合うという流れで子どもたちは気持ちを考えていました。

④一人で黙々と書きかえ始めているグループ

何人かの子どもたちは、自分一人で黙々と書きかえを始めていました。しかし、答えが出ずに止まっている様子が見られた子もいました。そうした子たちには、他のグループとの交流を促していきました。
T:今どこで困ってる?
ひいな:お父さんがなんで最後に一つだけあげたのかわからない。2の場面では、一つだけを悪いと思って使っているのに、最後になんで一つだけか分からなくて・・・
T:なるほど。さっきあっちのグループでも同じ話で困っていたよ。行ってみたら、解決のきっかけになるかもしれないね。

 子どもたちの学びの様相は様々でしたが、どのグループも他の場面とつなげながら気持ちを想像している様子が見らえました。また、劇化やイラストを使い考えている子たちは、場面の様子がはっきり見えてきており、細かい言葉にも立ち止まる姿が見えてきています。
 しかし、授業の前半に時間をかけすぎたこともあり、変身作文の書きかえまでは行かなかった子もいました。また、グループ①のように2の場面の言葉に立ち止まったことでさらに疑問が出てきたグループもいました。

 そこで、次回は「めちゃくちゃに」に立ち止まったグループをきっかけにさらに具体的に気もちを想像していこうと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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