【実践紹介③】「一つの花」~どうすれば気持ちを考えられる?~
公開日: 2024年9月23日月曜日
「一つの花」の第三時です。
前時では、「お父さん目線」「お母さん目線」「読者目線(振り返り)」で書きかえをしていくことを確認しました。本時では、子どもたちが「お父さん」「お母さん」から一人を選びその登場人物の視点で第四場面を書きかえていきます。その際、どうすれば気持ちを想像できるのかを話題にしながら、読み方についても確認していきます。
【第三時の目標】
第四場面の登場人物の気持ちを想像することを通して、登場人物の行動に着目し、身体化等をしながら分かったことをもとに変身作文を書くことができる。
【実際の授業の様子】
①前時の振り返りをし、「お父さん目線」「お母さん目線」での書きかえることを確認する。
本時は初めに、子どもたちの振り返りを紹介することから始めました。
ななみ:四の場面はゆみ子よりもお父さんのほうが書きやすいと思います。お父さんの気持ちは台詞などから想像しやすいと思うので、お父さんで書いてみたいです。
せいな:私はお父さん目線がやりやすいと思いました。なぜなら、お父さんは台詞もあるし、絵の表情からも気持ちが分かりやすいと思いました。でも、お母さんはやりにくいと思うのでそこも考えてみたいです。
T:なるほど。みんな四の場面ではお父さんは語りやすいと思っているんだね。
C:はい。お父さんは重要だから語りやすそう。
T:さっきせいなさんが、お母さんはやりにくいと言ってたけど、お母さんはどう?
C:確かに、やりにくそう。難しいって言ってる人が多い。
あきら:僕はお母さん目線は絶対無理だと思います。なぜなら、気持ちがまったく書いていないから絶対無理だと思います。
C:ああ、確かに。
前時から、「お母さん目線で語るのは絶対にむり」だと感じている子が一定数います。クライマックスの場面で描かれるのはお父さんとゆみ子が中心なので、お母さんの気持ちが語れないというのは当然の反応だとも思います。では、本当にお母さんの気もちは語れないのかを考えていきます。
②お母さんの気持ちを考える方法はないのかを考える。
T:じゃあ、お母さんの気持ちを考えるのは絶対無理なんだね?
たける:確かに気持ちは書いていないけど、お母さんの行動から気持ちを考えれば、もしかしたら気持ちを考えることはできるんじゃないかと思います。
C:ああ、そうかも。
せいな:じゃあ、劇をしてみたらわかるんじゃないかと思います。
C:なるほど。劇にしてみたらいいんだ。
C:でもそれだと予想になっちゃわない?
C:だから文中とか、イラストとかをよく見てその通りにやって考えるんだよ。
C:劇の方がやりやすいんじゃない?
えいと:お母さんだけで考えるのは難しいから、読者視点からの考えも書いたらいいんじゃないかと思います。
T:どういうこと?
えいと:お母さんはきっとこう思っていたんじゃないかな。みたいに考えて書くのがいいと思います。
C:確かに。それの方がやりやすそう。
まどか:お母さんの行動は少ないから、私たちから考えてお母さんはこういう気持ちなのかなと考えないとお母さんの心の中は語れないと思う。
T:じゃあ、劇をしながら読者目線でも考えていくとお母さんの心の中も語っていけそうだね。
お母さんの気持ちを語るためには、劇などを通してお母さんになりきってみること、そして、そのときのお母さんの行動や様子から気持ちを想像していくことが大切だという考えが共有されました。そこで、一度全体で劇をやってみることにしました。
③劇をやってみて、場面の様子を明確にしながら気持ちを想像する。
T:だれか劇をやってみてくれる人いる?
(三人の子が全体の前で劇をする)
T:今の劇見てみてどう思った?
C:ゆみ子はもっと早くから泣いていた方がいいんじゃない?
C:お母さんは、きっと最初は焦っている気がする。
C:お父さんは最後は、じっと見つめながら旅立っているよ。
T:なるほど。じゃあ、もっと具体的に表せるよって人いますか?
このように、演じる人を変えながら、四の場面を具体的にしていきました。すると、少しずつですが、お母さん目線でも書けるのではないかと考える子が増えていきました。
④「お父さん」「お母さん」から一人選び、変身作文を書く。
T:では今から、変身作文を書いていきましょう。劇をしたり、話し合ったりしたい人はしながら考えてもいいですよ。
子どもたちは、劇をしたり、イラストに書いて考えたり、友達と話し合ったりしながら変身作文を書いていきました。子どもたちの書いた作品を紹介します。
まだまだ。読みとしては全体的に浅い状態での変身作文です。原因としては
①お父さんが戦争に行く。もう会えないかもしれないという場面設定が十分にとらえきれていない。
②四の場面の読み取りに終始していしまい、前の場面とのつながりが見えていない。
③とりあえず書いただけで満足しており、吟味できていない。
などが考えられます。
そこで、次時からはより思いが語られる変身作文へのつくりかえにむけて、場面設定や場面のつながりなどを中心に考えていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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