【大造じいさんとガン】0次段階の工夫② 〜「前書き」を活用した「大造じいさんとガン」への誘い〜

公開日: 2024年2月4日日曜日 「大造じいさんとガン」(光村図書/東京書籍5年)

 今回は、0次段階の工夫②です。
(「①のりしろの力を振り返る」はこちらから)

読書経験を振り返る

子どもたちとは、大単元「読書と私」の歩みや4年生までの学習を振り返りながら、これまで読んだ作品は、同年代の主人公の物語、動物が登場人物になっている物語が多いことを確かめました。

後者については、「動物文学」と呼ばれるジャンルですが、一口に動物文学といっても、多様な形態があるようです。
子どもたちと一緒にWikipediaの「動物文学」を見ながら、
昔話系から自然科学・博物学的著作、児童文学・動物物語などさまざまな分類があることを確かめていきました。

各自の読書経験を振り返ると、ほとんどが昔話などフィクション色の強いものについては読んだことのある子どもが多いものの、ノンフィクションやそれに準ずるような作品についてはほとんど読書経験がないことがわかりました。

椋鳩十の世界への誘いとしての「前書き」


Wikipediaの「動物文学」の最後には、次のような記述があります。

日本においては、こうした動物物語が円熟するのは第二次大戦後であり、『高安犬物語』(1954, 直木賞)の戸川幸夫や、「大造じいさんとガン」 (1941) などで知られる椋鳩十によって一連の動物物語が書かれていった。」

これを取り上げた上で、椋さんについてNHK「あの人に会いたい」の動画を提示しました。
ただし、全て見ると、椋さんが作品に込めたメッセージを語っている場面が出てくるので、作品制作に向けて入念な取材をしていたことについて取り上げられている部分を中心に視聴しました。

子どもたちからは「読んでみたい!」の声が。
そこで、絵本化されている「かたあしの母すずめ」の読み聞かせをしました。
すると、目の前で母すずめの姿を見守っているかのように、
「ええ!」
「やばいって!」
「すごい!」
「よかった〜!」
などの声を上げながら、子どもたちは作品の世界に浸っているようでした。

さらに、このように語りかけました。

「実は、教科書に載っている「大造じいさんとガン」には「前書き」がついていて、そこにも椋さんがどんなふうに取材をしていたのかが、物語の一つとして語られているよ。」

前書きに登場する「わたし」は「語り手」であって、作者椋鳩十とイコールではありません。それを確認した上で、伝記「
椋鳩十 生きるすばらしさを動物物語に」も取り上げながら、「椋さんも、こんなふうに大造じいさんに話を聞きにいっていたのかもしれないね」という話をしました。(ちなみに、伝記によると、実在の大造じいさんは当時82歳だったんだとか。物語の中では72歳として描かれています。)

この前書きを読み聞かせ、「大造じいさんとガン」への期待感を高めるとともに、椋さんの作品を一人一人が手に取り、読んでみたい作品を選んでこの時間を終えました。

最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は、いよいよ第1時です!

国語科 溝上 剛道


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