たぬきの糸車5時間目~たぬきはなんでくるりくるりと目を回したの?~
公開日: 2025年10月14日火曜日
たぬきの糸車5時間目です。
前時では、それぞれが不思議に思ったことをグループで解決しています。しかし、ほとんどのグループが解決までには至らず、不思議が残ったままです。
本時からは、子どもたちが感じている不思議なところを全体で解決していきます。
本時は、「どうしてたぬきのめがくるりくるりと回ったのか」について考えていきました。
【学習活動① 前時の振り返りから課題を設定する】
ここみ:たぬきがどうして目をくるりくるり回したのか不思議です。私だったら回さないけど、たぬきは目を回していたから変だなって。
T:ここみさんは、たぬきの目が回っているところが不思議だって思ったんだね。同じところを不思議だって思った人いる?
りゅうき:なんでたぬきの目がくるりくるりと回ったのか分かんない
CC:わたしもいっしょ。
CC:そこはわかるよ。だってね・・・
T:ここが不思議だなって考えている人もいれば、もう理由が言えそうな人もいるんだね。じゃあ、今日はみんなでここを考えていきましょう。
【学習活動② 全体で場面の様子を具体的にしながらホットシーティングで解決していく】
課題が立った後、実際に劇をしながら場面の様子を具体化していきました。
おかみさん役とたぬき役の子に前に出てきてもらい劇化をしていきました。その際、教師が作成したやぶれ障子をもちいて場面の様子を表すと以下のようなやりとりがありました。
T:たぬきさんこのやぶれ障子の裏に来てもらってもいいですか。
ゆりか:(やぶれ障子の後ろから顔を出す)
CC:かわいい~。
T:みんなかわいいなあって思ったんだ。
なおや:うん、おかみさんも「いたずらもんだがかわいいな。」って言ってるから同じ。
CC:そうそうおかみさんもかわいいなって思ってる。
T:なるほど。確かにおかみさんも「かわいいな」って言ってるもんね。じゃあ、先生が今から読んでみるから、動いてみてね。
T:・・・二つの目玉がくるりくるりと回りました。
ゆりか:(目をくるりくるり回す真似をする。)
CC:めっちゃかわいい~。
CC:遊んでるみたい。
CC:一生懸命見てる感じもする。
CC:目が回ってそう。ぐるぐるしてる
実際に劇化をしてみることで、たぬきの様子が具体的に見えてきました。すると、劇を見ていた周りの子どもたちから、たぬきの様子を具体的に想像する呟きがどんどん出てきました。そのタイミングで、実際に劇をした子にインタビューしてみました。
T:ゆりかたぬきさんは、どうして目をくるりくるり回したんですか?
ゆりか:真似をしたかったからです。
CC:あ~確かに。
T:ゆりかたぬきさんは真似したいって思ったんだね。みんなどこからその気持ちがわかるかな?
しょう:22と23に糸車を回すまねをするたぬきって書いてあります。
りゅう:まねって書いてるからさ、まねをしたかったんじゃない?
CC:まだ証拠があるよ。
T:ゆいかたぬきさんはちゃんと文章に証拠を見つけて考えたんだね。
全体の場では「文章から証拠を見つけて考える」ということを共有したうえで、グループでの活動に移りました。
【学習活動③ グループでホットシーティングをしながら解決する】
グループでは一人がおかみさん役、一人がたぬき役、一人がインタビュー役に分かれて活動をしていきました。
子どもたちはグループの中で役割を決めて活動をしています。しかし、本文に戻らずに考えているチームもあったので、私がグループの中に入りながら「どこから考えたの?」「文章に証拠はある?」と問いかけることで文章に戻していきました。グループでの話し合いの様子を紹介します。
かれん:どうしてたぬきさんは目をくるりくるりと回したんですか。
まひろ:だって糸車を練習したいと思ったからです。
かれん:ん?(首をかしげる)
ののか:どこに?
まひろ:ここに「まいばんまいばん」って書いてあるでしょ。そして、ここ(最後の場面)にはたぬきが回せるようになってるでしょ。
かれん:そっか、練習したんだ。
まひろ:ほら、見て。「おかみさんがいつもしているとおりにたばねてわきに積み重ねました」って書いてあるから、だから・・・見てたんだよ。まいばんまいばんくりかえして
かれん:そっか、たしかに。ののかちゃんは?
ののか:あのさあ、練習して本番にしたってこと?
かれん:ん~あのさ、こっちが練習中で、、、練習中なんだよね
ののか:練習のために見てたってことか。
このように、子どもたちは文章中の言葉を手掛かりにしながらたぬきの行動の理由を考えていました。その場面のことだけでなく、先の場面ともつなげながら考えているような姿もあり、感心しました。
【学習活動④ 全体で話し合う】
T:たぬきが目を回した理由を教えてくれますか?
ののか:こっち(見ている場面)は目で練習して、こっち(最後の場面)は本番。
CC:そうそう
CC:え~、どういうこと?
ゆりか:でも、目で見てるだけだから練習じゃないと思うよ。
なおと:ののかちゃんの気もちわかるよ。ここで(最後の場面)「じょうずなてつきで」やるために練習していたってことだよ。
CC:練習なのかな?練習じゃないんじゃない?
T:ののかちゃんは、練習のためにみてたって言ってるんだね。みんなはどう思う?
ひろき:どうして練習かというとさ、ここに「まいばんまいばん」きたって書いてあるからさ、それで、それで、おかみさんをよく見てたからさ。おぼえたんじゃない
ゆずは:もしかしたら、目だけじゃなくて手とかもつかって練習してたんじゃない?
CC:あ~、たしかに。
たろう:見てるときにおかみさんが回しているところもみてたんじゃない?
CC:もしかしたら、上手になるためにおかみさんがねてるときにれんしゅうしてたんじゃないかな。
T:みんなすごいね。みんなは今日、たぬきのしたことから理由を想像して考えられたんだね。
たぬきは糸車を回す練習をしていたんじゃないかという考えから、たぬきの行動の理由が広がっていきました。もっと話したかったのですが、時間が来てしまったので、再度チームでたぬきの行動の理由について話し合う時間を取りました。
T:もっと聞きたかったけど、もう時間がきちゃったね。このあと、実習生に手紙が書けそうかな?手紙にどんな理由が書けそうか、チームで最後話し合ってみて。
じろう:これさあ、糸車は外にはなかったから珍しくて見てたんじゃない?
なおと:あ~、なるほど。
T:どういうこと?ここみちゃんわかった?
ここみ:わかんない。
じろう:だってここは山おくなんでしょ?だから初めて糸車見たんじゃない?
なおと:そうか。はじめてみたんだ。
【学習活動⑤ 実習生or担任あてに手紙を書く】
本時でも、手紙を書く相手は子どもたちに選んでもらうようにしました。しかし、本時は私宛に困ってますを書く子はおらず、全員が実習生にむけて分かったことを書く手紙を選択していました。振り返りを紹介します。
きちんと叙述や挿絵に戻りながらたぬきの行動の理由を想像していることが分かります。さらに、もうすでに「たぬきは恩返しをしたかったんじゃないか」という先の場面のことを読み始めている子もいました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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