臨場感あふれる「オノマトペ人形劇」の絵コンテを作ろう①~『スーホの白い馬』(光村図書2年下)~

公開日: 2019年2月3日日曜日 「スーホの白い馬」(光村図書2年下) オノマトペ 語彙力

いよいよ研究発表会の単元「臨場感あふれる『オノマトペ人形劇』で,ようすや気もちを語りつごう」に入りました!

低学年の文学教材の中で最も描写が豊かな作品『スーホの白い馬』。
だからこそ,今回提案したいのは「子ども自ら語彙に着目する言語活動」です。
「意味調べ」をさせても,「ダウト読み」で教師がとぼけてみせても,子どもが自ら語彙に着目しているとは言えません。
子ども自ら語彙に着目するための言語活動として,「『オノマトペ人形劇場』の絵コンテ作り」を提案いたします。

今回お伝えさせていただくのは,その単元開きのようすです。

T:今日から,2年生最後の物語単元。今回は,これ(パペット人形を提示)。人形劇をやろうと思います!
C:いえーい!
T:でも,ただの人形劇ではありません。これです!(上図の板書「臨場感あふれる『オノマトペ人形劇』の絵コンテ」という短冊を提示)「オノマトペ人形劇」をやろうと思います!
C:オノマトペ人形劇?



単元開きでは,「臨場感あふれる『オノマトペ人形劇』の絵コンテ作り」という耳慣れない言葉にあえて出合わせ,本単元で取り組む言語活動に興味をもたせたところで,ジブリ映画「となりのトトロ」の1シーン(雨の日にバス停でトトロに遭遇する場面)を<音声なし>で見せました。

「どんな音がしそう?」と問うと,「ザーッ」「トトロが跳んだところは『ドーン』って」などとつぶやき出します。さらに,今度は<音声あり>で見せるとともに,「実は,この場面を作るために,作者の宮崎駿さんは,こういう『絵コンテ』というものを書いています。」といって,実物の絵コンテ(コピー)を提示し,「人物の様子や気持ち」がどのように表されているかを確かめていきました。



 板書の枠囲み部分は,絵コンテに実際書かれていた言葉です。
「ドバババ」「ピタピタ」は,激しく雨粒が落ちた音や,何かが近づいてくる足音を表すオノマトペ(=擬音語)であり,指導事項の「場面の様子」を表す言葉にあたります。
それに対して,「ぶすーっ」「かくっ」等は,実際に音はならないものの,表情や動きの様子などを表したオノマトペ(=擬態語)と言えます。
これらは,「登場人物の行動」を具体的に表した言葉です。
そのほか,「ぞわっと」のように気持ちを表すオノマトペや「よいしょっと」のように心の声を表す言葉も絵コンテには使われています。

これらの言葉を映像と照らし合わせながら確かめることで,身に付けるべき力と「オノマトペ人形劇の絵コンテづくり」のつながりを捉えられるようにしました。



 
さらに,既習作品「お手紙」を活用した絵コンテのモデルを提示して「前後の会話や行動を関係付ける」という思考操作を具体的に示し,次のような単元の学習課題を設定しました。


人物のくわしいようすや気もちを       …つけたい力(指導事項)
前後の会話や行動とかんけいづけて そうぞうし …考え方  (思考操作)
臨場感あふれる「オノマトペ人形劇」を作ろう。…すること (言語活動)

次時は,一人一人がこの学習課題を達成するための「わたしの問い」を立てていきます。ご期待ください!


熊本大学教育学部附属小学校
国語科 溝上剛道

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