【0次段階】学びをつなぐ〜読み継がれ,語り継がれてきた物語〜

公開日: 2023年10月10日火曜日 「ごんぎつね」(光村図書/東京書籍/教育出版)

国語科 溝上です。
前回のブログで,「次回からは実際の授業を」とお伝えしました。
が,どうしてもここはお伝えしたい!と思い,今回のブログでは単元びらきの前に「0次」段階*として取り組んだことをご紹介します。

*大熊(2012)は,「導入の前に,子どもの興味・関心や課題意識を醸成する時間をとりたい。(中略)いわば『0次』段階である。さらに言えば,『0次』段階で子どもの捉えた課題意識なり興味・関心なりは,抽象的なものではなく,子どもを取り巻く現実世界の中からのものであることが望ましい。」と述べています。

<参考文献>
大熊 徹(2012)「国語科学習指導過程づくりどう発送を転換するか」明治図書

単元配列の工夫

光村図書,東京書籍にはそれぞれ「一つの花」「ごんぎつね」が掲載されています。
この2作品に共通することとして,
・長きにわたり,教科書教材として掲載され,多くの世代で読み継がれている作品であること
・どちらも「語り手」の存在が強く感じられる文体であること
の2点が挙げられます。

そこで,前単元では,「一つの花」を学習材としつつ,3年生の時に読んだ「ちいちゃんのかげおくり」と読み比べながら,「読み継がれてきた物語を読もう」という単元を構成しました。

ともすると子どもたちは(いや私たちも含め),「戦争を絶対なくしたいと思った」「平和な世の中にしたいと思った」のように,「戦争」「平和」という言葉でまとめてしまいがちだと思います。

そこで,単元初めにこのこの2作品の共通点を整理した上で,「『一つの花』だからこその感想・解説をまとめよう」という単元のゴールを設定しました。

ここでは具体的な授業の内容は割愛しますが,この単元で「語り手」という学習用語を共有できたことで,これまで「なること(=同化する読み)」が大好きだった子どもたちが,「見ること(=異化する読み)」のたのしさに気づき始める姿が見られました。


二つの単元をつなぐ〜戦争作品から伝承物語へ〜

「一つの花」での単元を終えた次の時間,子どもたちへこう問いかけました。
「みんなはこの読み継がれてきた『一つの花』という物語を読んできたけど,これからは君たちが伝えていく番だよね。みんなはこのお話を『どんな物語』と語り継いでいきたい?」

すると
「えーっ!?」「ちょっと待って!」「時間ください!」という声が上がり,改めて作品を読み返し始めたり,近くの友達と話し合ったりする姿が。
これまで自分で立てた問いを解決し,解説・感想をまとめてきた子どもたちが,「『どんな物語』と語り継ぎたいか」というフレームで再考を始めました。

どうやらこの活動は子どもたちにとってとてもたのしかったようです。
授業が終わった後も「先生,またやりたい!」「次もこれがいい!」という声がたくさん上がりました。

教室環境を整える

よく同じ作者の作品や同ジャンル(昔話,戦争教材等)を集めて教室に並べておくことがあると思います。
基本的には私も同じなのですが,前述した「単元配列」と並行して,少しずつ学級文庫コーナーを改造していきました。

単元「読み継がれてきた物語を読もう」に入る前には,「ちいちゃんのかげおくり」「一つの花」をはじめとする戦争が題材になった作品を並べました。

単元終盤に差し掛かった頃,既習の物語(「たぬきの糸車」「スーホの白い馬」「三年とうげ」)のクイズコーナーを作り,「読み継がれてきた作品」の幅を戦争教材から伝承物語へと広げていきました。

そして,子どもたちが伝承作品に興味を持ちはじめたあたりで「二つの単元をつなぐ」の授業を行いました。

そうして少しずつ改造を続けた現在地が,このブログの最初に掲載していた写真の状態です。

ちなみに,「ごんぎつね」だけでもたくさんの絵本作品がありました。
このたくさんの絵本を見るだけでも,この作品が様々な絵本作家によって語り継がれていることを感じることができるでしょう。

さて,今回も長くなってしまいましたが,次回は今度こそ「第1時」です!
最後までお読みいただきありがとうございました。

国語科 溝上 剛道
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