【単元構想②】私の教材研究 〜「ごんぎつね」をどう教材化するか〜

公開日: 2023年10月9日月曜日 「ごんぎつね」(光村図書/東京書籍/教育出版) 教材研究



「ごんぎつね」は長年多くの教科書に掲載され,様々な実践・研究の蓄積がある教材です。

例えば,第6場面における「視点の転換」に着目させ,ごんと兵十の思いはいかにすれ違っているのかを課題にした実践や,「兵十はこの後誰に話したか」「誰がなぜこの物語を語ってきたのか」などの課題を設定し,「民話的な語り口と伝承性」に迫っていくような実践などが挙げられます。

また,「ごん日記」や「ごんへの手紙」など,物語の世界に入り込むような言語活動を設定した実践もあります。

これらの課題や活動は,どれが優れているということではなく,育成を目指す資質・能力とそれに対する学級の実態や学びの履歴によって変わるものだと言えるでしょう。

本学級の学びの履歴 〜前単元「一つの花」では〜


本学級の子どもたちは,前単元で「一つの花」を学習材として「読み継がれてきた物語を読もう」という学習を経験してきています。

単元終了後「この物語を今度は自分たちが『どんな物語』と語り継いでいきたい?」と問うと,次のような考えが出てきました。


「『一つだけちょうだい』と言っているゆみ子の物語」(あおこ)

「ゆみ子が『一つだけ』の口ぐせを言わなくなった物語」(けんた)

「『一つ』の選択だけで人や世界が変わるということがわかる物語」(じろう)


多くの子どもが「一つだけ」という言葉に着目して自分の考えをまとめていたものの,あおこさんのように場面の移り変わりとそれに伴う変化に着目できていない子ども,けんたくんのように場面の移り変わりに着目はしているものの,行動の変化を捉えることで止まり,その解釈まで至っていない子どもも見られました。

一方で,じろうくんように,「一つだけ」という繰り返し作中に出てくる言葉に着目し,その象徴性を自分なりに解釈していくような子どもも数名いました。

子どもたちは今,「なること(同化する読み)」だけでなく,少しずつ「みること(異化する読み)」のたのしみを見いだし始めていますが,その段階はさまざまです。


「語りの構造」を生かした単元構想


そこで今回は「なること」と「みること」の両方を組み込んだ『私はこう語りつぐ〜ごん・兵十との文通〜』という単元を構想しました。

先に述べた「民話的な語り口と伝承性」という教材の特徴を生かした実践です。

具体的には,次の3つをポイントにしています。


①『手紙』ではなく『文通』にすること

手紙は本来相手とのやり取りがたのしいものである。自分から人物へ,人物から自分への手紙の両方を書くことで,同化・異化の両面をたのしむことができるようにする。


②「ごん」だけでなく,「兵十」も文通相手とすること

ごんだけでなく兵十も相手として設定することで,「視点の転換」への着目を促し,両者のすれ違い,両者にとっての悲劇性を捉えた上で,考えの形成へと繋げられるようにする。 


③ 最後の一通で「どんな物語として語りつぎたいか」を伝えること

文通を通して分かってきたことを基に,最後の一通は「だから僕はこの『ごんぎつね』を『〜な物語』として語りついでいくよ。」の一文で終えることを共有しておくことで,文通の過程でも精査・解釈にとどまらず,考えの形成まで見通して活動できるようにする。


最後までお読みいただきありがとうございました。

次回からは,授業の実際をお届けします!

 

 

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