【単元構想①】この本おすすめ!〜「ごんぎつね」の教材研究〜

公開日: 2023年10月8日日曜日 「ごんぎつね」(光村図書/東京書籍/教育出版) 教材研究


 
国語科 溝上です。


10月は,4年で「ごんぎつね」を学習材とした実践に取り組みます。
これから本校のブログで実践を紹介していきますので,ご覧いただければ幸いです。
その前に,単元構想について以下の2回に渡ってお伝えしたいと思います。


第1回 「ごんぎつね」の教材研究 おすすめ本
第2回 私の「ごんぎつね」教材研究  〜「ごんぎつね」をどう教材化するか〜


ということで,まずは「ごんぎつね」教材研究おすすめ本についてです。

今回の実践では,特に以下の3冊を参考に単元を構想しています。

 

「『ごんぎつね』の<解釈>と<分析>」(明治図書)


鶴田清司 著
「国語教材研究の革新」シリーズの第1巻です。
教材解釈や教材分析という言葉は,現場レベルでは似たようなニュアンスで使うことが多いように思います。しかし本書ではそれが明確に分けて定義づけられています。
ここでは長くなるので,鶴田先生が「平たく言えば」と前置きされた部分のみ引用します。

<解釈>個人の生活経験に基づく読み方
<分析>科学的なものさしに基づく読み方

 

第4章「『ごんぎつね』の<解釈>」では,6つの「教材の核」について,複数の研究者の解釈を取り上げながら,どのような読みが可能かについて論じられています。
<解釈>は前述のとおり,「個人の生活経験の基づく読み方」ですが,「ごんぎつね」の時代設定は子どもたちの生活経験からとても距離があります。
しかし,鶴田先生は「むしろ歴史的状況が異なっていることによって,作品が『新しく』『別様に』理解されていくという<解釈学的経験>の可能性」があると述べておられます。
 
私自身,「ごんぎつね」を読む時,物語の設定は自分の生活経験からかけ離れてはいますが,ごんの気持ちやごんと兵十との関係を捉えていこうとすると,自ずと生活経験が引き出されていく感覚があります。
 
本単元でも,子どもたちにそんな文学体験ができる実践にしたいと考えています。
 
ちなみにこの本,残念ながら絶版になっています。
明治図書のHPで復刻投票をしていますが,なかなか賛同者が増えず・・・
皆さんも投票をお願いします!
 
ちなみに熊本県立図書館には所蔵されています。
熊本在住の方は,ぜひ!

また,鶴田先生のご著書で現在手に入るものならば「なぜ『ごんぎつね』は定番教材になったのかー国語教師のための『ごんぎつね』入門ー」(明治図書)もあります。
こちらもおすすめです!

 

文学の力×教材の力 小学校編4年(教育出版)


田中実・須貝千里 編著


本書では,4年の6教材について,文学研究者と国語教育研究者の各2名が論考を交わしています。

「ごんぎつね」については,次の論稿が掲載されています。


「『ごんぎつね』の引き裂かれた在りようー語りの転位を視座としてー」鈴木啓子

「読みの交流の媒材としての『ごんぎつね』」松本修


「視点の転換」や「語りの構造」については,様々な書籍や論文等でも取り上げられていますが,ここまで深く掘り下げているのは,私が知る限りこの本がNo.1!と思っています。


今回の単元でも,この2つの作品の特徴を活かした実践にできればと考えています。

 

 

「第三項理論が拓く文学研究/文学教育 小学校(明治図書)


田中実・須貝千里・難波博孝編 著


2番目に挙げた書籍と同じく,複数の文学教材について各2名の研究者の論稿が寄せられています。

「ごんぎつね」については,以下の二つです。


作品研究「『ごん狐』の深層ー孤独の越え方ー」横山信幸

授業構想「『ごんぎつね』の授業構想ー『声なき声」に耳を傾けるためにー」


作品研究については,正直なところ自分にはかなり難しい部分もありますが,その全てを授業で子どもに教えるのではなく,バックボーンとして持っておく,という心構えで読みました。

授業構想については,「ごんぎつね」の特徴の一つでもある「語りの構造」をどう実践に落とし込むか,その具体例として「茂平になって『ごんぎつね』を語る」という言語活動が示されていました。

今回の単元構想にもかなり参考になる部分が多かったです。


次回は,この3冊から学んだことを基に「私の『ごんぎつね』教材研究」について述べたいと思います。


最後までお読みいただきありがとうございました。


国語科 溝上 剛道



 

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