【ごんぎつね③】「活動の選択」によって,メタ認知を促す

公開日: 2023年10月15日日曜日 「ごんぎつね」(光村図書/東京書籍/教育出版)


 

第3時の目標

各自で問いの解決に取り組んだり,4つの手紙から取り組みたいものを選んだりしながら,自己の学習状況に合った学び方を調整しようとする。


この時間は,子どもたちがいかに「メタ認知的モニタリング」と「メタ認知的コントロール」を働かせるかに主眼を置き,授業を構想しました。

メタ認知とその支援の在り方については,岡田涼先生(香川大学)の資料を参考にしています。
岡田先生のHPから閲覧可能です。
リーフレット形式でとてもわかりやすくまとまっているので,校内研等の資料としてもおすすめです!


主な学習活動


① 一通目の手紙を基に,学習課題を具体化する。
② それぞれの方法で問いの解決に取り組む。
③ 問いの解決状況を振り返り,4つの手紙から選んで書く。
④ 国語日記を書く。

学びの実際

<学習活動①> 

一通目の手紙を基に,学習課題を具体化する。


前時は,以下のような仮の学習課題を設定し,一通目の手紙を書きました。

【単元の学習課題(仮)】
『ごん・兵十との文通』で『私はこう語りつぐ』の考えを深めよう。


この課題の『』部分は,言語活動に関する言葉です。
この課題文のままだと,活動の見通しはもてますが,考えを深める「視点」がはっきりしません。

そこで,
①『文通』をすると,どんなことがわかってきそうか?
② 「考えが深まる」とは,自分の手紙のどの部分が深まるということか?
について話し合う場を設定しました。

①『文通』をすると,どんなことがわかってきそうか?

子どもたちからは,「ごんの気持ち」「兵十の気持ち」「はじめはこうだったけど,終わりにはこう見たいな…」「そのきっかけ」などの発言が出てきました。

それらの発言を基に,仮の学習課題に朱書き部分を付け加えました。

<学習課題(改)>

『ごん・兵十との文通』で「人物の気持ち・変化・そのきっかけ」をとらえ,『私はこう語りつぐ』の考えを深めよう。



② 「考えが深まる」とは,手紙のどの部分が深まるということか?

前時に書いた一人一人の手紙(一通目)の中から,次の視点で記述が見られた部分に,マーカーを引いておきました。

黄:「どんな物語」と語り継ぎたいか
橙:「どんな人物」と語り継ぎたいか
赤:「人物の行動」をどう捉えたか(個々の解釈)
緑:「自分の感想」の言葉(かわいそう,悲しい,感動的,など)

手紙のシートには,マーカーだけ引いておき,色ごとにどんなことを書いていたかを発言させていきました。
それらを板書しながら,それぞれの色が何に関するものなのかを確かめ,「考えを深めるポイント」として共有しました。











このように,学習活動①を通して,『ごん・兵十との文通』で何を捉え,どんな視点で考えを深めていくのかを共有していきました。


<学習活動②> 

それぞれの方法で問いの解決に取り組む。


各自で問いの解決に取り組みました。
これまでの単元での学習経験を活かし,ある子は黙々と手紙を書き,ある子は似た問いの友達と話し合い,またある子は劇をしながら問いを解決しようとしていました。

一人で手紙を書き続けるあおこさん

ごんは死を覚悟していたのかについて話し合うももこさんたち



劇をしながら場面の様子や人物の気持ちを考えるたろうくんたち


<学習活動③> 

問いの解決状況を振り返り,4つの手紙から選んで書く。
















残り15分となったところで,一旦活動をストップし,全員に問いの解決状況を振り返る時間をとった上で,どの手紙を書くかを選ばせました。

写真のように,

A:問いが解決した(気持ちがわかった)
→ごん・兵十からのお返事を書く

B:解決しなかった(わからない)
→もう一度「ごんへ」「兵十へ」でお尋ねをする

という選択の基準例を示し,各自が自分が書けそうなものを選んで取り組みました。

この日は,「ごんへ」5名,「兵十へ」1名,「ごんからの返事」28名,「兵十からの返事」1名という状況でした。

各自が解決に取り組んだ問いは,以下の通りです。
<学習活動④> 

国語日記を書く。


最後に,第3時の振り返りとして国語日記を書きました。
時間は5分間。
その短時間では,なかなか自己の学びを振り返り,それを言語化するまで至らない子どももいます。
ここは積み重ねによって鍛えていく部分もあります。
ただ,本単元では<学習活動③>でどの手紙を書くかを選択する際に,一旦自分の問いの解決状況を振り返っているため,左のように記述量があまり多くない子どもも,しっかりと自分の問いの解決状況と自分の現状の考えを書くことができていました。

右の写真の子どもは,この日,二人で話し合って解決したことをまとめつつ,「他の人にも聞きたい」のように次時への見通しまで書いていました。


次回は,そうした「他の人にも聞いてみたい」という思いを取り上げ,全体で話し合いながら,どうすれば「問いの発展」や「考えの更新」ができるかをモデリングしていきたいと考えています。

国語科 溝上 剛道




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