【ごんぎつね②】「表現と理解の相互循環」をベースに単元を構成する

公開日: 2023年10月15日日曜日 「ごんぎつね」(光村図書/東京書籍/教育出版)

 


第2時の目標


学習計画を立て,試しの活動に取り組むことで,単元の見通しをもつことができる。

※今回の第2時までが「第1次(単元の見通し)」段階にあたります。

主な学習活動


① 前時の学習を振り返り,この単元でどのように学習を進めていくかを話し合う。
② 相手(ごんor兵十)を選び,一通目の手紙を書く。
④ 国語日記を書く。

学びの実際

<学習活動①> 

前時の学習を振り返り,この単元でどのように学習を進めていくかを話し合う。


前時の活動を想起させると,子どもたちからは,こんな声が上がりました。

C:あれ結構面白かった!
C:もうちょっと深めたい。
T:あ,もっと深めたい。
C:うん。まだちょっと浅い。
C:そう,船で言うとまだ浅瀬の感じ。

こうした反応を取り上げ,「どんな物語と語り継ぎたいか」についての考えを深めていくことを単元の学習課題(仮)として設定しました。
すると,そこから「どうやって考えを深めるか」についてのやり取りが生じていきました。

T:じゃあ,単元の最後にもう一回やってみる?
C:はい。
T:最後だけじゃなくて,毎回考え直してもいいかもしれないね。終わりの考えだけじゃなくて
C:今の疑問…
T:途中の考えも毎回振り返っていこう。
C:そうそう。
ふうま:でもその考えを深めるには,話し合いしないと,深まっていかないから
C:それもあるけど(数名が挙手)

T:じゃあ,どうやって深めるかのアイデア?じゃあけんたくん。
けんた:えっと,僕が(前単元で)やったんですけど,図に表した方が掴みやすい…
C:どういう図?
ふうま:似てます。けんたくんに似てるんですけど,文中のキーワードを探して,要点同士を結び付けていくと深まると思いました。
C:ああ。
そうた:似てます!前に行っていいですか?さっきふうまくんも言ったようにまず真ん中にキーワードを書いて,例えば「悲しい」とか書いて(黒板に実際書いてみせる)
C:おお!
C:枝分かれだ!
T:ここに「悲しい」って書くの?
そうた:いや,「いたずら」とかでもいいんだけど,まあそういうふうになって,こういってこういって(枝分かれの図を描く)
C:いたずらがどんなのかみたいな?
C:それを写真とかにとってロイロノートでみんなに見せ合えたら。
T:おお,これ使えそう?
C:はい!

このように,図を使った学び方について子どもたちからアイデアが出てきたのは,前単元「一つの花」でけんたくんが描いていた図を価値づけ,教室掲示(本校では「学びの足跡」と呼んでいます)に残しておいたことが関係しているのかな?と思いました。

<学習活動②> 

相手(ごんor兵十)を選び,一通目の手紙を書く。


そのほかにも,「図に書いたことを文章で要約する」「中間発表会をする」など,「子どもたちから考えを深めるためのアイデアが出てきました。
「中間発表」については,他教科で何度か学習経験がある活動だったので,子どもたちの中でその良さの実感があったのだろうと思います。
教科の枠を越えて,自分たちに合った学び方を獲得していっている姿が見られました。

子どもたちから出されたたくさんアイデアに加えて,私からも提案をしました。
それが,『ごん・兵十との文通』です。(詳細は,こちらのブログをご覧ください。)

簡単に言うと,ごん・兵十に対して,読者である自分から手紙を出し,その手紙の返事を人物になりきって書くという活動です。
この活動によって,同化する読みと異化する読みを行き来できると考えました。

ここでポイントとなるのが,単元構成です。
一般的には,第2次で内容理解の話し合いを行い,単元末に手紙を書くというような「理解→表現」(図1)という単元構成が多いと思います。
しかし,本単元では,第2次でこの手紙のやり取りを繰り返しながら,表現を通して理解を深めていく(図2)ことを大切にしました。

渡辺貴裕先生(東京学芸大学准教授)は,このような学びのプロセスを「表現と理解の相互循環」として,その重要性を提唱しておられます。

参考:「なってみる学びー演劇的手法で変わる授業と学校」(2020)時事通信社

第2時では,自分からの手紙の相手として,ごん・兵十のいずれかを選び
・それぞれの人物に言いたいこと(兵十へ なんで撃つんだ!ひどいよ!など)
・疑問に思ったこと(ごんへ なぜいたずらばかりするの?など)
・どう語り継ぎたいか(だから私はこの「ごんぎつね」を〜な物語と語り継ぐよ)
の3点を中心に自分の考えを書いていきました。

まず,書いてみる(=表現してみる)ということです。

ここでは,「ごんへ」「兵十へ」の一通目をそれぞれ一人ずつ取り上げます。

めぐこさんの一通目(ごんへ)

めぐこさんは「優しいきつねと語り継ぐべきか,悪いきつねと語り継ぐべきか」で迷っている状態を綴っています。その上で,「たくさん食べ物をあげたのに,ごんをころしたから(兵十のことを)うらんでいますか?」というお尋ねをしていました。次時から,この問いの解決に取り組んでいくものと思われます。


ゆうこさんの一通目(兵十へ)


ゆうこさんは,「さいごにいたずらをしたばつが返ってくる物語」と捉えていました。
「ばつが返ってくる」とはしているものの,兵十に対して「なんでごんをうったのか?」というお尋ねを投げかけるとともに,「ちゃんと,ごんのことも覚えて生きてください」と訴えかけているように,ごんの気持ちにも寄り添っていることがわかります。
次時は,今持っている兵十の問いを解決を解決することになるでしょう。この問いを解決していくことは,この物語の悲劇性を捉えていくことにもつながると思います。
また,兵十の問いを解決するとともに,ごんの変化にも目を向けていくことで,「ばつが返ってくる」という捉えがどう変容していくかも見ていきたいと思います。

その他の子どもの問いも,一覧でご紹介します。



<学習活動③> 

国語日記を書く。


最後に,一通目を書いてどんな問いをもったか,今その問いに対してどう考えているかを振り返って国語日記を書きました。

第2時では,まず一通目の手紙を書いてみる(=表現)によって,個々の問いや現時点での考え(=理解)を表出させていきました。
第3時からは,その問いの解決に取り組み,手紙を書く活動を繰り返していくことで,「表現と理解の相互循環」をより活性化していきたいと思います。

国語科 溝上 剛道






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