2月7日(金)熊本大学教育学部附属小学校研究発表会公開授業授業記録①「モチモチの木 活弁士になろう」~単元開き~

公開日: 2020年2月2日日曜日

とうとう本校研究発表会を迎える週に入りました。

研究発表会まで、残すところ5日です。

そこで、本時を迎えるまでの授業記録を、読みやすいライトな形にしてブログでご報告させていただきます。

当日ご参会の先生方にも、公開授業を単発の授業ではなく、つながりのある中でご覧いただきたいと考え、お伝えいたします。

研究発表会当日には、より詳細に記録した「授業記録」や「実践報告」の資料は配布いたします。当日、それらの資料と重ねて読んでいただけると、より質の高い授業研究会が開けるのではないかと考えております。

お時間ございましたら、ご一読いただきますよう、よろしくお願いします

<第1時 授業開き>
本時の目標 単元の見通しをもち、言語活動「モチモチの木 活弁士になろう」への意欲を持つ。



こちらは、本単元で使用した「学習計画表」です。この学習計画表を基に、単元の見通しを持たせていきます。

「見通しをもって学ぶこと」は主体的な学びを生み出すための、大切な条件となります。

学習計画表の一番右の囲みの中に、「学習課題」を提示しています。この学習課題は一般的な「課題」とは異なり、「3つのフレーズでつくる学習課題」としています。それぞれのフレーズは、以下の3つの要素で構成しています。

「A 身に付ける力」
「B 思考操作(どうやって言語活動に取り組むのか)」
「C 言語活動」

「3フレーズの学習課題」を提示することにより,本単元の学びを通して「どんな言語活動に取り組むのか」「取り組んだ言語活動を通して,どんな力を身に付けるのか」「言語活動に取り組むためには,どのように考えるとよいのか(思考操作)」の見通しをもたせていくのです。

この学習課題の提示によって,3つの要素を子どもたちに意識させて活動に取り組ませていくのですが、それは「活動あって学びなし」と揶揄されるような活動主義的な言語活動に陥らないためです。

「活動あって学びなし」と言われてしまう学びになるのは、単元の見通しが曖昧であったり,個人の興味関心に偏った言語活動となったりしていたためであると私は分析しています。

もっと言うのであれば,単元の導入では,教師だけが身に付ける力を知っていて,単元の終わりごろになってようやく「こんな力を付けるために活動してきたのか」ということを意識できるような学びでは,子どもに確かな言葉の力は育てられないのではないでしょうか。教師が提示し,教えるべきところはきちんと教え,教師と子どもがともに言葉の学びに浸れる空間を創っていく必要があると考えます。そのための「3フレーズの学習課題の提示」です。

学習課題を提示し,言語活動「モチモチの木 活弁士」を提示した後の子どもたちの反応ですが,現在上映されている映画「カツベン」の予告を見たことがある子どもたちもおり,「活弁?何なのそれ?」という反応を示す子どもから,「知ってる,知ってる」という活弁の内容を簡単に説明する子どもまで,多様な反応がありました。

授業の中では,映画の予告や活弁士の動画を使いながら,活弁士とはどういう仕事をしている人なのかについて説明していったのですが、子どもたちの反応は「難しそう」や「できるかな」などといった反応がありました。

けれども、本学級3年3組の子どもたちの素晴らしい姿が、研究発表会でも何人かに活弁してもらおうかと考えていると伝えたら,「やってみたい」「やりたい」と挙手する子どもが13人もいました。

挙手できなかった子どもたちも,「モチモチの木」を活弁してみたいという気持ちをしっかりともっていたことが、学習感想の中に書かれてありました。

<教師の活弁を見る子どもたちの様子>

以上のことから考えると,概ね「活弁士」の導入には大きな手ごたえを感じることができたのです。

「活弁士になる」ということについて、今どう考えているのをペアで話し合わせたが,そのゆうじとだいじの反応を下に載せる。


〇ゆうじ  僕は「ちいちゃんのかげおくり」の時にも,緊張して覚えられていたのが言えなくなっていたから,もしかしたら失敗するかもしれない。

〇だいじ 授業参観で言われたから,緊張して固まってしまいそう。



 私が6ページも作成し,練習して披露した「お手紙 活弁士」を見た直後だったので,努力家で表現することに積極的なゆうじであるが,少し尻込みしている様子であった。

学習に対してとても丁寧で,きっちり自分ができるまでやり抜こうとする態度を身に付けているだいじも,発表する際に生まれる緊張を心配している様子であった。

しかし,二人と話している内に「難しそうだけど,まずやってみたい。練習すれば大丈夫」という声が聞かれた。


子どもたちの「モチモチの木 活弁士」について考えていることを聞く中で,特に驚かされる発言をしたのは,しんじであした。

しんじの発言の価値は,私にとってとても大きいものでした。

私が「お手紙」を用いて「お手紙活弁士になろう」のモデルをやってみせたのですが,私の活弁を,子どもたちは笑ったり,驚いたり,じっと黙って見つめたりしながら見ていました。

私の「お手紙活弁」終了後,活弁する内容は,場面の状況の説明や,登場人物の台詞を声にして表現するところだということを説明しました。

また,物語を読んでもつことができた感想や考えについても表現する必要があることを説明したのですが,その説明を聞いたしんじは,「今回の活弁士は童話発表会とプレゼン大会を合わせた活動ですね。」と発言しました。

この発言の背景を説明すると,私は前単元までに,本単元の「活弁士」という言語活動がスムーズに導入できるように,「ちいちゃんのかげおくり」での「童話発表会(暗唱して音読する)を開こう」という言語活動や,特設単元「サーカスのライオン」(東京書籍)での「じんざのすてきが伝わるプレゼン大会を開こう」という言語活動を設定していました。

しんじが発言した通り,本単元で設定した「活弁する」という言語活動は,「童話発表会」と「プレゼン大会」を合わせたような活動をイメージだったのです。

年間を通した言語活動の経験を蓄積させていくことも大切な力になると考えていたので,しんじの発言により,今年度計画した単元の学びが年間を通すものとなっていたことが自覚できました。

 この後,本文を全員で通読をし,誤読をなくすための音読指導を行っていきました。子どもたちにとって意味の難しい言葉と音読する上で止まってしまった部分は以下の通りでした。

<意味の捉えにくい言葉>
おくびょう せっちん 組みうつ きもすけ 青じし きもをひやす さいそく 鼻ぢょうちん 霜月 うしみつ よいの口 表戸 半道 霜 ふもと  ねんねこばんてん


<音読の間違い>
「ぶっさかれる」などの非日常語 医者様の「おう,おう――。」をかけ声のように読む

初めて音読しながら、どんどん「モチモチの木」の物語のおもしろさに気づいていく子どもたち。次時からどのような学びを生み出してくれるのか、とても楽しみになる第1時でした。


明日は「活弁士になるためのわたしの問いを立てる授業」の記録を掲載いたします。


本学級の公開授業は2月7日(金)になります。まだまだお申し込みは受け付けております。平日の実施のため、参加することがむずかいいかもしれませんが、これから本学級3年3組の子どもたちがどのような学びの姿をたどるのか楽しみになられたのではないでしょうか。

ブログには本時前までの授業記録を掲載いたします。

やはり本時の学びは実際にご覧いただいて、ご参会の先生方の目で分析していただきたいと考えております。

また、当日の授業分科会では、京都大学の石井英真先生熊本大学の北川雅浩先生をお呼びして、ご助言いただきます。石井先生は『中教審「答申」を読み解く』や「今求められる学力と学びとはーコンピテンシー・ベースのカリキュラムの光と影」など多数のご著書を書かれておられます。北川先生も本年度熊本大学にご着任された先生です。授業研究会もこれまで聞いたことのない情報が満載になる予定です。

それでは、これから2月7日(金)の研究発表会までお付き合いくださいませ。

熊本大学教育学部附属小学校 国語科 中尾聡志
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