2月7日(金)熊本大学教育学部附属小学校研究発表会公開授業授業記録<研発前日最終号>「モチモチの木 活弁士になろう」~活弁台本を作る~
公開日: 2020年2月6日木曜日
これまで長らくお読みいただいた先生方、ありがとうございました。
今日が研発前日ですので、授業記録も最終号とします。
明日お配りする資料には、第5時第6時の授業記録を載せてありますが、ここでお伝えするのは第7時終了後の活弁台本の分析です。
私はこの第7時において、ある程度「活弁台本」を完成させられるようにしました。
けれども、当然子どもたちそれぞれがもっている活動を進める速度には違いがあるため,全員が第7時で書き上げることはできませんでした。
現段階で完成している状態の活弁台本の分析をこちらに載せさせていただきます。
この子どもの姿を基に、明日の授業をご参観いただければ幸いです。
だいじ
とてもまとまりある台本ができている。「愛情あふれるお話」と読み取った内容が伝わるように活弁することができる台本である。最後のまとめも、この「愛情あふれるお話」で終わっていて、とてもきれいな台本である。「感想・考え」で豆太は勇気のある子どもに変わったとある。
ころう
ところどころのつながりが弱い部分はあるが、上手にまとまっている。問いの解決した結果を生かしている部分もある。「感想・考え」でおくびょうな豆太が勇気がある豆太にかわっており、臆病、こわがりな性格からたくしい性格に変わったとある。
ゆうじ
この物語を自分のものにしている。自分が伝えたい活弁のために、出来事を上手に再構成できている。豆太の恐怖を説明するために、四年前の熊本地震の経験を挙げているが、何を説明したいのかが今いちわからない。実際に話す中で明らかになるものだと考える。表現の工夫あり。
かんた
一生懸命表現を工夫し、臨場感ある活弁台本を書こうとする意欲を感じる。ただ、「クライマックスまでと結末」の部分で、物語から情報を取り出す量が多くなってしまっており、残念である。「感想・考え」では、疑問として、勇気ある子になったのに、なぜまたじさまを呼ぶか考えている。胃腸炎の経験を語っている。
たけお
物語の内容はしっかり理解しているので、台本の進め方はスムーズである。しかし、尊なりの言葉が、問いかけや話のつなぎの部分にしかなく、行動や気持ちの変化などにはたけおなりの語彙が使われていない。「感想・考え」では、臆病がたくましい豆太になったとある。加えて、じさまの性格も変わっていると考えている。
きよし
「クライマックスまでと結末」の物語の叙述を抜き出す量が多く、自分なりの言葉を入れて説明しようとしているが、あまり目立たない。「感想・考え」では、最初は臆病だとおもっていたけど、最後まで読むと、豆太は勇気があるんだなと思ったとある。しかし、モデルに引っ張られる。
えいた
短くまとめているのはよい。しかし、えいたなりの言葉は一カ所「そりゃそうだ」のところのみ。あとは抜き出しである。「感想・考え」では、この物語で伝えられていることは、おくびょうでも優しければいいということだと結論をつけている。(コンパクトだが文量が少ない)
そうた
話の展開に無理がなく、すんなりと読める。話の筋を作るのが上手。「感想・考え」では、豆太の気持ちを変化させたのは自分とある。じさまの言葉も引用しながらの表現に、感嘆するしかない。周りの友達との読みとしては、ズレがある。また、これまでの物語との共通点も示している。
かずお
とても朴訥とした表現であるが、伝えたい思いが伝わる台本である。細部の表現よりも、勢いのある文章である。「感想・考え」では、豆太があの時だけ勇気を出せたのは、優しいからどうしても助かってほしいと重り、じさまのことが好きだったからできたと予想している。
こうし
モチモチの木に灯がともっている様子を見た日の後日談など、2つの空所について、豆太とじさまが会話をする感じで、想像している。その想像が物語の筋とそれほどずれておらず、具体的な想像になっているのが面白い。「感想・考え」では豆太は変わったようだが、変わったままではないとしている。
てんじ
文と文のつなぎ方が上手。「一時だけ豆太は違った」というような次を予想させるような表現が随所に使われている。「感想と考え」では、一番変わったのは、豆太の勇気としていて、0%が100%に上がったとしている。今まで出せていなかった勇気があったということとしている。
ちかお
「感想と考え」で義本人の考えが示されていない。最初の「この話はこんな話だ」を繰り返しているだけ。つまり、考えの形成の力がついていないということになる。「考えの形成」とはどのようにするのかを理解する時間が必要となる。活弁台本の内容もあらすじまとめ感がある。
れいお
物語の内容をしっかりと理解できている。だから、活弁する内容も正しい。さらによくなるように言うならば、れいおなりの言葉がほしい。「感想と考え」では、他の物語と比較しながら考えを書いているが、物語の流れと終わり方のみの説明しか書かれていない。
かんじ
物語の出来事を中心にまとめながらも、きちんと自分の考えを入れ込みながら活弁台本を書くことができている。しかし、その使っている言葉が少し一般的な言葉が多く、かんじならではの表現が欲しい。「感想や考え」では、怖がりから勇気のある少年になったと書いている。
るうま
ゆうた
「気が遠くなる」「見事にやってのける」「人生の大きな一歩」など、豊かな表現を使っているため、活弁を聞いていて面白いだろう。「感想や考え」では、豆太は優しい気持ちで勇気を振り絞ったとまとめている。だから、この物語は優しいお話だということには納得する。
しんじ
物語の内容を自分のものにしている。そのため、活弁で説明される内容がすっきり入ってくる。活弁する必要がある部分を必要なだけ説明している。最後のクライマックスでの、情報の取り出しが長くなったのが残念。「感想や考え」では、豆太は勇気のある人間になったとある。自分の経験や他の物語との比較もある。
おうみ
活弁の仕方の工夫が書き込まれているのは、発表意識があってよい。しかし、情報の取り出しによって活弁が進んでいくの、おうみなりの言葉によって、自分の考えが入るとさらによくなる。「感想や考え」では、豆太の気持ちを「うれしかった」と表現しているが、そこはさらに深い考えをつくることができる。
ももさ
まだ完成していない。とても一生懸命しているが、活弁の内容が物語の言葉を抜き出すことに紙面を割いているので、お話の内容は理解できるが、ももさなりの活弁にはなっていない。ももさなりの言葉を使うと面白くなるということを実感させる場が必要であると考える。
たまえ
まだ完成していない。「感想や考え」を書く前に、活弁の仕方についての問いを立て、その解決に時間を割いたために、完成していない。ただ、活弁の仕方の工夫は、表現力豊かに活弁できるように効果的な気づきとして、書き込むことができている。
ももよ
まだ完成していない。しかし、情報の取り出しのみに偏るのではなく、随所随所で自分の考えにつながる表現を入れ込んでいる。(「それは、大すきなじさまを死なせないためだから」等)「感想や考え」では、自己の体験と結び付けたものについて書けるようにする。
のどか
前時の改善点として、自分の状況で豆太の状況を読まないことであったが、自分の夜中にトイレに行けると豆太のせっちんに行けないを同じに読んではいけないということを改善する方法を書き込みしていた。「感想・考え」では、モヤモヤしていた豆太の性格は、最後勇気のある性格になったとしている。
みやこ
まだ完成していない。一つ一つの問いの解決に納得いくまで時間をかけていたためである。豆太の紹介では、昼と夜の豆太を対比的に表現豊かに活弁できている。問いの解決に時間をかけた成果は大きい。全体的な活弁の進め方もとてもわかりやすい表現でできている。
あいこ
りおん
「ほんとにだめなんでしょうか」といった表現は、活弁する先の内容に興味を持たせる効果があるので、使っていくとよい。「感想や考え」では、豆太の気持ちが変わったとしているが、どのような変容として捉えているのかが、最後のページから読み取ることは難しかった。
さくこ
活弁の仕方についての問いを立て、活弁の仕方を工夫することが全てのページでできている。「どうなるかな」などの次の展開を期待させる言葉もある。ナレーターの視点で語ることもできている。「感想や考え」では、豆太は勇気のある人物に変わったとしている。
あやみ
活弁の仕方について、しっかりとどのように表現するとよいのかを考え、書き込むことができている。表現の意識が高い。「感想や考え」では、臆病から勇気のある性格に変わり、性格が力強くなったとしている。また、じさまは最初豆太に勇気がなくて、心配だったとしている。
まりえ
書かれていない会話文や地の文を上手に想像している。叙述に即しながら「豆太はじさまのことで頭がいっぱいだったのだろう」などという表現をし、読んでいてとても面白い。「感想や考え」では、こわがりの性格が自信がもてるせいかくになったとしている。加えて、じさまも性格がやさしくなっているとしている。
れいな
書き方が常に、「自分の考え+そう読んだ理由」の順で活弁しているので、れいなの考えがすごく伝わってくる。わかりやすい活弁である。「感想や考え」では、「読んで思ったことは勇気の気持ちが一番大切ということ」と「人と人との幸せ」としている。
なつみ
修正を入れているのだが、そのおかげで文章がとてもリズムよくなっている。感心する程である。「感想や考え」では、この物語で一番変わったことは「豆太の気持ち」としており、勇気がないと言っていた豆太だったのに、最後には勇気が持てたとしている。
ひなこ
文末を変えながら、活弁のスタイルに物語を書き換えることができている。しかし、クライマックス場面になると、情報を取り出して文章を短くする傾向が強くなってしまうのが残念。もっとひなこなりの言葉がほしい。「感想や考え」では「弱虫でもやさしけりゃいい」が思ったこと。
ちかこ
「活弁の始まり」では上手に活弁台本を書いていたが、「クライマックスまでと結末」で、情報を抜き出して並べてしまう書き方がたくさん出てきた。物語としてスムーズに読めるのだが、もっとちかこなりの言葉がほしかった。「感想や考え」では、豆太の気持ちの変化を「暗い気持ち」→「熱い気持ち」→「泣いてた行動」→「じさまのために走った行動」としている。
さくみ
「やさしいやさいいじさまですね」「知っているだろう、じさま」など、読み手が興味をわく表現を使って活弁台本を書くことができている。「感想や考え」では、「物語の謎」を書いており、医者様がなぜモチモチの木の灯を見られたのかを考えている。結論は書いていない。
あやこ
まだ完成していない。物語の出来事は理解しているので、お話の内容は正しく活弁の形にすることができている。しかし、あやこなりの表現がない。わたしの問いを解決する中で出した言葉を使うからこそ、聞いている人は納得すると考えるが、そこがなかったので残念だった。
にじこ
表現意欲が高く、どのように活弁するのかを詳しく書き込む姿がある。活弁の内容も、物語を正しく読み取り、きちんと説明することができている。「感想や考え」では、自分の豆太の生活を比較し、豆太の生活と自分の生活は違うということを述べている。しかし、結論が「互いを愛している」なので結論として弱い気がする。
子どもたちが全力で作成した「活弁台本」を、1人ずつ以上のような分析をし、本時に臨みます。
本時では、授業の導入で2人の子どもに活弁を披露してもらいます。
活弁してもらう場面を、「活弁の始まり」「物語を読んでの感想や考え」の2カ所に絞り,それらの活弁を聞きながら、友達が活弁した「豆太は勇気あるたくましい性格になった」ということについて,自分がどう考えるのかを交流する学びを生み出していきます。
その先には,物語の行動や会話文,地の文などを再度つなげた読み方,つまり「関連付けた読み」をすることで,この物語における「勇気」や「優しさ」とは何なのかを明らかにすることができることを実感させていきます。
そのような学びを通すからこそ、その価値を実感した「関連付けて読む」という言葉の力を使って,自分の言語活動である「活弁台本」を見直し,再構成する学びを生み出していきたいと考えています。
子どもの座席表は以下の通りである。45分で生まれる子どもの学びをご覧ください。
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