言語活動「3つの『ごんぎつね読書レター』を書く」で、「考えの形成」の力を身に付ける授業④(第4時間目)(光村図書4年下「ごんぎつね」)~あなの中でのごんのつぶやき~

公開日: 2021年2月14日日曜日 「ごんぎつね」(光村図書/東京書籍/教育出版)

第4時の日の朝自習の時間に,第3時の「問いの一覧」と「問いの解決策」を一覧にまとめたプリントを配布しました。

一覧表が配られたら,それぞれの問いとその解決策にはどのようなものがあるのかを読む時間を設定しています。

自分の問いと似ている問いを立てている友達を見つけておき,問いの解決の時間になったら,自分の考えを持った上で,話し合いの場を自主的に作れるようにしているからです。

また,解決策の一覧を配布した後には,友達の解決策について交流する時間を設けています。

問いの解決策は,その子なりの解決策になっています。

その子の学びの文脈の中で生きる解決策です。

そのような解決策を汎用的なものにするためには,「話し合い」が必要となります。

以下に,解決策を共有する子どもたちのやり取りの一例をあげます。

 

児童A しんじくんの「それをヒントにしてつないで読んだ」の意味がわからなかったから,聞きに来た。

 児童B えっと,話し合った結果から,カギになりそうな文…

 児童A ああ,話し合った時にお友達が言ったこととか?

 児童B とかを,ほかの文とつないで解決した。

 

このような話し合いを重ねることで,1人1人の解決策が生きて働くものとなると考えます。

第4時の目標 「4つ目の『わたしの問い』の解決に取り組み,問いの発展・更新を行うことができる。」



本時で取り組む学習内容は,3つ目の問いの解決と問いの発展・更新です。

子どもたちはこれまでの学びの中で,適当に解決しても言語活動につながらないことを理解しています。(3年生の特設単元「じんざのよさが伝わるプレゼン大会を開こう」での学びの中で,問いをたくさん立て喜んでいたが,解決してみると,じんざのよさを伝えるプレゼンには至らなかった経験を,共通の学び体験として理解している。)

また,問いの解決については,「強くて,深くて,ぎっしり詰まった解決」を共通の学習用語として,自分の問いの解決を見直す視点としています。

 

前時に子どもたちが立てた「わたしの問い」の中で,「80行目〜85行目の「あんないたずらをしなきゃよかった」から読み取れるごんはどんな性格なのだろう。」は,全体で話し合う価値のあるものだと考えました。

それは,前時で学習した文末の表現(ぬすっとぎつね「め」)に着目することで,8085行目のごんの独り言はごんの思い込みを強めるものだと読み取ることができると考えたためです。

このような文末表現に着目して,物語の叙述を関連付けて読むことは,自分たちの問いの解決をより深いものにすることができるます。

このような問いの解決の質を高める学びは,子どもの学びの状況に応じて,適宜入れていくべきだと考えています。決して,教師の考えさせたいものを恣意的に取り上げるということではなくてです。

 

前時までの学びの中で,あなの中でごんがつぶやいた独り言が,ごんの強い思い込みによって成立していることにはあまり気付いていません。

このごんのあなの中でのつぶやきは,ややもすれば,ひとりぼっちのごんが,一人で考えたことが,あたかも事実のようにして読んでしまわれる傾向にあります。

そこで,上記の子どもが立てた問いを基にして,あなの中でごんが考えた独り言をみんなで読み,その文末表現に気付いていく学びを,「わたしの問い」の問いの解決と解決の間に設定することを計画しました。

あくまで,子どもたちの問いの解決の延長線上にある活動として設定していきました。

 

授業のスタートは,子どもたちの問いを解決することから始めました。

すると,ある子たちは,「ひとりぼっちの兵十か」について話し合い,ごんは兵十もひとりぼっちとわかり安心したのかそうではないのかについて話し合っていました。

安心とは違う気がする,でも,それ以外の言葉が思い付かない。安心の反対の不安なのか?

このような話し合いも,自分の考えを持ったうえで,自分が解決した問いとのつながりを考えたからこそ生まれたと考えます。

私は子どもたちの活動の様子を見ながら,上記の問いを立てたけど解決に納得できない思いを取り上げ,言語活動につながる学びを生み出していきました。

そのために,穴の中で兵十のおっかあが死んだ理由を,自分のせいだとつぶやき,「ちょっ,あんないたずらしなけりゃよかった」と言ったごんの性格についての問いを共有し,全体の学びを生み出していきました。

下に全体の場で出された意見を載せます。 

・問いを立てた本人…「あんないたずらしなけりゃよかった」というところから,いたずらをして後悔しているって気持ちは分かる。

・私は,後悔は一緒なんだけど,例えばの話を作って考えると,くやしい?くやしい思いは,自分のせいで兵十のおっかあが死んじゃったということは,後悔もあるし,少しくやしいっていう思いがあると思う。

・私も昨日後悔について調べたんだけど,ごんは最初,ごんにとっては,うなぎを取るって言うことは,小さいこと…自分がいつもやっていることだったけど,後から大きなことに変わってしまった。


この後,あなの中でごんが心の中で思っていることは,ごんが思い込んでいることや決めつけているかのような文末表現になっていることに気付いていった。

文末表現に着目した読みは,前時の「ぬすっとぎつねめ」の「め」に込められた思いを読んだこととつながるものである。

本時でも文末表現に着目することで,1文字1文字にこだわって読むことで,ごんの新たな性格が見えてくるということを価値づけた。

子どもたちは、友達の問いの解決をする上での悩みに寄り添い,友達が立てた問いのよりよい解決に向けて,全員で考えていきました。

このような思考をたっぷりと通しながら,言葉による見方・考え方を働かせ,わたしの問いを解決させ,解決した問いの解決策を振り返らせていきました。

 

「問いを立てる学び」と聞くと,個人で黙々と考える学びのように捉えられることが多々あります。

しかし,問いを立てる学びの中でも,全体での学びは重要です。それは決して,これまで行っていたような「課題づくり」における課題のように「物語を読んだ疑問や不思議」についてのものではありません。

言語活動を成し遂げるために立てられたものであり,子どもたちがが立てる問いは,指導事項である「考えの形成」につながる問いなのです。

 

問いの解決の質がかなり高まってきています。

最後,どんな「ごんぎつね」読書レターになるか,楽しみにしていたことを記憶しています。

子どもの学びにわくわくできる授業者でいられることを,嬉しく感じていました。

 

 

ここからは告知になります。

2月20日(土)の研究発表会への参加申し込みが,本日14日(日)に締め切られます。

有料の研究会ですので,お気軽にとは申し上げられません。

けれども,できあがった授業公開動画を見返すと,これまで上手に公開できなかった部分も,お伝えできる内容となっていると自負しております。

土曜日の休日を使うことになりますが,ぜひともご参加いただけると幸いです。

ぜひともご参加いただきますよう,よろしくお願いいたします。

授業研究会での研究協議ができることを楽しみにしております!!

 

熊本大学教育学部附属小学校 研究主任 国語 中尾聡志

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