言語活動「3つの『ごんぎつね読書レター』を書く」で、「考えの形成」の力を身に付ける授業⑥(第6時間目)(光村図書4年下「ごんぎつね」)~2通目の読書レターを書くための最後の準備~

公開日: 2021年2月16日火曜日 「ごんぎつね」(光村図書/東京書籍/教育出版)

第6時の目標 「6つ目の『わたしの問い』の解決に取り組み、問いの発展・更新を行うことができる。」


本時で取り組むことは、次時に書く「2通目の読書レター」に書く内容を明らかにすることにありました。

これまでも2通目の読書レターを書くために問いを立て、解決する活動に取り組んできましたが、今日がその最後の時間となります。

2通目の読書レターは「クライマックスの前の場面までを読んだ人」に読んでもらうものなので、本時で取り組むことは、ごんが最後「引き合わないなあ」というつぶやきをするまでに、どのようなことが生まれていたのか読み解く問いを立て、解決できるようにしていくことにありました。


気を付けなければならない前時の学びとして、ノートや国語の記録の中で、「つぐない」と「お返し」を混同している部分がありました。

これは昨日の朝自習の時間に確認したことではあったのですが、それでも数名混同しているところがありました。

ここはしっかりと指導して,その違いを明らかにしなければなりません。

 

注目すべき点としては、6人の子どもたちが、ごんのしたつぐないが変化していることに触れた記述をしていました。

この「ごんぎつね」を読むために、全ての場面の叙述と関連付けて読ませたい「ひとりぼっち」や、「引き合わないなあ」と言いながらも次の日にくりを持って行ったごんの行動などを関連付けて読む上で、ごんのつぐないの変化は全員に一度は立ち止まらせたい内容であると考えていました。

そのため、本時の問いを立てる学びの中で、注目していた男の子と女の子の話し合いの様子を観察していき、その学びの姿から、ごんが行ったつぐないについて考える場を設定しようと考え、授業を行いました。

 

授業の前半は、自分の問いの解決です。

その中で、着目した男の子と女の子が話し合い、話し合いが停滞した様子を見取り、全体での学びへと移っていきました。

 

T ちょっとみんな、こっち向いてもらっていいかな。今、(男の子)さんと(女の子)さんは何を話し合っていたの?

 男の子 ごんがいたずらをしている時とくりや松たけを持って行っている時の気持ちの変化を話し合っていました。

T みんな、二人が話し合っていたことは2通目の読書レターに使える?

 C 使える。

T (「ごんのいたずら」と板書し、「ごんの気持ち」のカードを黒板に貼り、)このいたずらの反対にあるごんの行動は何と言ったらいいかな?

 C ごんのやさしさ。 女の子 いや、なんか違う。ごんのつぐない?

T ごんのつぐないか。ごんのつぐないって何あげたかわかる?

 C くり。

T そうだね、くりを最初にあげたんだったよね。

 C はい。ん? C くりじゃないよ。

T ごんが兵十にしたつぐないって何だったのかな。ペアで確認してみよう。

 C いわし。そして、くりを持ってきて、時々松たけ。

(この後、子どもたちとやり取りをしながら、「いわし→くり→くり、松たけ」と板書する)

T くりや松たけって一日だけだったかな。

 C 次の日、次の日、その次の日って書いてあるから、毎日。

T そうだよね。で、つぐないであるこの「いわし→くり→くり・松たけ」で、ごんの気持ちが変化してるってことを(男の子)くんと(女の子)さんは考えていたんだよね。これらって同じつぐないなの?変わっているの?

 C 違います。 C どんどん…

 児童A いわしは売っているものが置いてあって、それを盗って投げたけど、くりは自分の手で山から拾ってきたものっていうところが違う。

 C だんだん丁寧になっていく。

T どういうこと?

 児童A ごんの気持ちがこもってきている。

 児童B いわしは裏口からぽいって投げて入れているけど、くりはわざわざ投げるんじゃなくて置いていて、置き方も変わっていっている。

 児童C 外から投げていて、雑。

 児童D くりは家の中に入っている

T 渡し方や入れ方で、気持ちがこもってきているのってわかる?

 C わかる。

T (男の子)くんは、このことをどう考えていたんだっけ?確か、まず、いたずらとつぐないで分かれて、いわしとくりや松たけで分かれるって考えていたんじゃなかったかな?

 男の子 はい。

 児童F ちょっと言いたいことがあって、ごんのつぐないじゃなくて、ごんの気持ち…ぼくが最初に、なぜごんはくりやまつたけを置いていっているのかで調べたことなんですけど、ごんと兵十が同じひとりぼっちだったからあげた。兵十の寂しさがわかるのはごんしかいないから、そこで自分と同じ目にあわせたくないから、ちょっとでも励ますように、くりや松たけを贈っている。

T 児童Fくんは、これってつぐないじゃないって言ったの覚えている?これってつぐないじゃないのか。

 C いわしは「うなぎのつぐないにまずいいことを1つした」とあるから、つぐない。

 女の子 くりや松たけはつぐないではあるけど…

T つぐないではあるけど?何なんだろうね。ただ、最後ごんは「つまらないなあ」「引き合わないなあ」と言っているね。でも、次の日にはまた持って行っているね。なんでなんだろうね。ここのあたりの問いを立ててその解決に取り組んでもいいし、まだ解決できていない問いがあれば、その解決に取り組んでもいいです。残り時間を有効に使って、明日の「ごんぎつね読書レター」の2通目に備えましょう。

 

ここまでが全体の学びです。

この後は基本的に「わたしの問い」の解決であり、問いの発展・更新になっていきます。

ただ、基本的には2通目の読書レターを書くために、自ら立てた問いは大方解決してから取り組もうと話していたので、授業終了後の休み時間や家庭学習の中で、全ての問いを解決する姿は見られた。

問いの解決を全て終える時間は、子どもそれぞれになります。

終わる時間に違いが生まれるのが、問いを立て、その解決策を考える学びです

そのため、教師の手立てが必要です。

簡単に、授業外で解決しておきなさいではいけません。しかし、子どもたちが納得するまで解決に取り組むためには、子どもそれぞれに必要な時間があることを理解することが必要だと考えます。

そのような個人差に対応するために、授業後の時間を活用できるようにしていきました。


さあ、とうとう明日は、2通目の読書レターを書く活動に入っていきます。

どんな読書レターが出来上がっていくのかが、今から楽しみです!!

 

熊本大学教育学部附属小学校 研究主任 国語科 中尾聡志

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