言語活動「3つの『ごんぎつね読書レター』を書く」で、「考えの形成」の力を身に付ける授業⑧(第8時間目)(光村図書4年下「ごんぎつね」)~クライマックスの場面に立てた問いを解決する~
公開日: 2021年2月18日木曜日 「ごんぎつね」(光村図書/東京書籍/教育出版)
第8時の授業を迎える前の朝自習の時間を使って、2通目の読書レターの交流と、どのように考えて「クライマックスの場面の問いを立てたのか」を言語化させました。
2通目の読書レターの交流させる際、子どもたちには付箋紙を2枚持たせました。
1枚は同じ班の友達の書いた読書レターに、もう1枚は隣のペアの読書レターに向けた感想を書かせました。全てのペアが感想の付箋紙をもらえるようにするためです。
書かせた付箋紙は、読書レターの裏に貼らせ、貼った読書レターを読むことで読み手がどのように反応するのかを実感させていきました。
付箋紙に書く内容としては、基本的に友達の読書レターを認める表現にするように話しました。
改善点となるアドバイスがある場合には、認める表現をした上で、改善点を伝えるようにしました。
下にあるペアがもらった感想カードを載せます。
子どもたちは、こだわりをもって書いていたからこそ、友達の読書レターを読む活動にも前のめりで取り組んでいました。
第8時の目標 「クライマックスの場面の問いを立て、解決のための解決策を用いて問いを解決することができる。」
第8時の目標は,子どもたちが立てたクライマックスの1つ目の問いを解決することでした。
事前の計画では,問いの解決する中で,子どもたちが解決しづらい思いなどを全体で取り上げながら,問いの解決の質を上げようとしていましたが,昨日載せた「クライマックスの場面の問い」を子ども自身の力で立てていたので,45分間問いの解決に取り組ませようと計画を修正しました。
そこで,12時間計画から1時間増やし,本時はじっくりと問いの解決に取り組むようにしました。
授業の中での子どもたちの学びの様子について3人述べていきます。
【ある女の子の学び】
抜き出し,下にそれぞれの気持ちを書き,ごんの気持ちを読み取っています。
その結果,ごんは「兵十に気付かれてよかったな」と「うれしい気持ち」という解決をしています。
ただ,次に立てた問いの「兵十が『ごん,おまいだったのか。いつもくりをくれたのは』と言った時の気持ち」では,ごんを撃てばいたずらがなくなるから嬉しいとしています。
撃った瞬間か,その後の気持ちかによって,その妥当性は変わってくる。全体で確認したい内容だなと感じました。
【ある女の子の学び】
この子のノートの中で注目すべきは,自分の考えを一度消して,新しい考えを書いている点です。
兵十に撃たれた時のごんの気持ちについての問いを立てていたが,最初「くりをあげていたのに,うたれて悲しい」としていました。
しかし,その考えに×をして,「後悔のない一生をすごせたとうれしい気持ち」としています。
このごんの最期の気持ちについての考えの変化は大きいと捉えています。
また、1人目の子どものノートと比べて,記述量は極めて少ないなっていますが、それは授業の中で,この子の学び方が,自分の考えをもった後,友達との対話を中心に進めていったからです。
一体どのような友達との対話があったから,このようなももさの考えに変容したのかを,個別指導に回る中で尋ねていきたいと考えています。
【ある男の子の学び】
この子は「なぜごんは『引き合わない』と言ったのに,栗や松たけを持って行き続けたのだろう」を問いに立てていました。
この問いを解決する中で,「せきにん」という言葉でごんの気持ちを表現しています。
しかし,ペアの子どもと話をする中で,「時が立つごとにやさしくなっている」という考えに触れ,「この物語はお互い(ごんと兵十)どちらとも,気持ちが通じ合わない物語」という考えを生み出しています。
この考えはとても興味深いものと考えます。
また、「この物語は~」という読み方は,物語の主題を読む方法につながるものです。
「お互い気持ちが通じ合わない物語」というこの子の考えは,全体の場で発表できるようにしていきたいものです。
研究発表会当日にダウンロードしていただこうと考えている詳細な授業記録では、他に11人の問いの解決についての私の分析を載せております。合わせてお読みいただけると、子どもたちが問いを立て、その解決策を考える学びの質の高さを実感していただけると思います。
研究発表会まで残すところあと2日です。
研究主任もしておりますので、総論提案にも力を入れながら、この中学年国語分科会の充実にも全力で臨みたいと考えております。
研究会にご参加いただく先生方、どうぞよろしくお願いいたします!!
熊本大学教育学部附属小学校 研究主任 国語科 中尾聡志
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